1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域集団を対象とした神経疾患スクリーニングのための問診票の開発に関する研究
Project/Area Number |
10670358
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
三宮 邦裕 大分医科大学, 医学部, 助手 (30215925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 俊秀 大分医科大学, 医学部, 助教授 (40134936)
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Keywords | 神経問診票 / 多発性ラクナ梗塞 / スコアー化 / 神経疾患スクリーニング / 在宅高齢者 |
Research Abstract |
地域集団を対象とした神経内科検診において,一次検診での神経疾患スクリーニングのための問診票の開発を目的とした. 本年度は,画像にて確診されたラクナ状態/多発性ラクナ梗塞(LS/MLI)患者28名(男21名,女7名:60歳〜87歳,平均72.4±8.2歳),健常者30名(男8名,女22名:60歳〜83歳,平均69.5±5.7歳)を対象に神経学的診察を行い,その所見を2群間で比較した.χ2検定によりLS/MLI患者に有意な33の臨床症候が抽出され,さらに主成分分析により19項目に絞られた.これら19項目に点数配分(1点〜3点)を行い,症例毎に点数付け(スコアー化:Lacunar state score;LSS)を行った.LS/MLI患者では平均28.9±10.3点(15〜44),健常者では平均1.3±1.6点(0〜5)であり,2群間で有意な差を認めた.本スコアーの妥当性を検証するため,これまで我々が行ってきた熊本県M町における在宅で60歳以上の者(在宅高齢者)1274名に本スコアーを適用した.臨床的患者群165名(男83名,女82名:平均年齢78.9±8.6歳)および臨床的健常群738名(男270名,女468名:平均年齢68.9±6.7歳)で,LSSは各々,平均20.6±12.3点(1〜54),平均3.8±4.9点(0〜30)と2群間で有意差を認めた.ROC曲線を用いてcut-off pointを検討すると,8点で鋭敏度87.3%,特異度83.5%であり,LSSは臨床症候によりLS/MLI患者を鑑別するのに有用と考えられた. 次年度は本スコアーをより確実なものとするため,LS/MLI患者および健常者の数を増やし再検討し,LSSを用いてM町在宅高齢者からLS/MLI患者を抽出し,LS/MLI患者スクリーニングのための問診票を完成させ,妥当性・有用性について検討を行う予定である.
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