Research Abstract |
地域集団を対象とした神経疾患のスクリーニングのための問診票の開発を目的とした。 一般地域在住の高齢者に高頻度にみられ,QOLの阻害因子となっているラクナ状態/多発性ラクナ梗塞(LS/MLI)患者を対象として,昨年度は神経学的診察による神経症候から,LS/MLI患者を鑑別するのに有用なスコアー(Lacunar state score:LSS)を作成した。 本年度は,このスコアーを用い,熊本県M町の60歳以上の在宅高齢者1274人からLS/MLI患者群および非LS/MLI群(対照群)を抽出した。患者群(N=171)と対照群(N=865)の神経学的自覚症状に関してはχ^2検定を用いて,ライフスタイル,血圧,肥満度,血液検査の因子項目に関してはMantel-Haenszelの方法を用いて性,年齢を調整して比較検討し,患者群において有意な因子項目の抽出を行った。その結果,χ^2検定により耳鳴り,四肢の冷感,排尿障害(以上P<0.05),嗅覚異常,四肢のしびれ(以上P<0.01),難聴,四肢の脱力,物忘れ,便秘,視力障害,手足の振るえ,歩行障害(以上P<0.001)が有意項目として選別され,Mantel-Haenszelの方法により,高血圧(odds ratio(OR)=8.996),肥満(OR=1.059),喫煙(OR=7.926),飲酒(OR=7.640),睡眠時間(OR=7.926),総コレステロール値(OR=0.550),野菜摂取(OR=0.608),連続歩行(OR=0.465)が有意項目として抽出された。これら抽出された20項目に関するLS/MLIスクリーニング用の問診票を作成した。
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