1999 Fiscal Year Annual Research Report
低蛋白食マウスを用いた腸管出血性大腸菌に対するワクチン開発の基礎研究
Project/Area Number |
10670359
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
喜多 英二 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90133199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 文子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70271202)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / ベロ毒素 / 低栄養 / サイトカイン / アポトーシス / 脳症 / 血管内皮傷害 |
Research Abstract |
ベロ毒素(Stx)産生腸管出血性大腸菌感染に合併する脳症の発症機序を、低蛋白飼育マウス及びヒト血管内皮細胞(HUVEC)培養系で解析し以下の結果を得た。 1)感染後2日目から血中にはTNF-αの上昇を認め、3〜4日後にピークに達した。IL-10は感染3日後から徐々に上昇し、5〜6日目にピークに達した。血中ベロ毒素は、感染3〜5日目に検出し得た。脳抽出液中には感染3日後からTNF-αが検出され、6日後には2倍に増加していた。また、感染6日目にはIL-10も検出し得た。 2)脳の中性糖脂質中にはStx受容体(Gb3)が存在し、精製Stxが結合し得ることを認めた。 3)感染後5日目以降神経症状を呈したマウスにおいてのみ、感染10日目の脳切片中にアポトーシス細胞が著しく増加していた。 4)TNF-α共存下でのみHUVEC細胞内へのStx2取り込み、及び分解が亢進することを蛍光色素ラベルStx2を用いた解析から明らかになった。 5)TNF-αとStx2の同時添加でHUVECの細胞傷害が著しく亢進し、この傷害は主としてアポトーシスによることが、TUNEL法及び抽出DNAの電気泳動解析から判明した。一方IL-10はこのTNF-αとStx2によるアポトーシスの誘導を抑制し得た。 6)TNF-α前処理(6時間)後にStx2を添加した時には、同時添加と同レベルにHUVECの細胞傷害は顕著であったが、Stx2前処理後にTNF-αを添加しても有意な細胞傷害は認められなかった。 以上の結果から、感染後血中TNF-αが早期に上昇することから、TNF-αとベロ毒素の共存による血管内皮傷害により、ベロ毒素が中枢系へ移行し得ると考えられた。また、脳内にはベロ毒素の機能的受容体が存在したことから、ベロ毒素による直接的神経細胞の傷害が生じるもの推察された。さらに、血中及び脳内で検出されたIL-10はベロ毒素が関与するアポトーシスに対して抑制的に作用することも認められた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] E.Kita: "Pathogenic mechanism of mouse brain damage caused by oral infection with shiga toxin-producing Escherichia coli O157:H7"Infect.Immun.. 68(3). 1207-1214 (2000)
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[Publications] T.Kurioka: "Efficacy of antibiotic therapy on infection with Shiga-like-toxin-producing Escherichia coli O157:H7 in mice with protein-calorie-malnutrition"Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.. 18. 561-571 (1999)
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[Publications] T.Kurioka: "Enhancement of susceptibility to Shiga toxin-producing Escherichia coli O157:H7 by protein calorie malnutrition in mice"Infect.Immun.. 66. 172-1734 (1998)
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[Publications] 喜多英二: "腸管出血性大腸菌感染による溶血性尿毒症症候群の動物モデル"小児内科. 30. 714-718 (1998)
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[Publications] 喜多英二: "マウスモデルにおける腸管出血性大腸菌O157感染の病態解析"関西実験動物研究会会報. 19. 88-100 (1998)
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[Publications] 喜多英二: "エマージングディジーズ(竹田美文、五十嵐章、小島荘明編)"近代出版. 425 (1998)