1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670362
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
芳賀 博 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (00132902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 誠司 山形大学, 医学部, 助教授 (50220158)
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Keywords | 転倒 / 在宅高齢者 / 生活の質 / 生活行動 |
Research Abstract |
研究目的:転倒が、高齢者の生活の質の低下にどのように影響するかの検討は急務である。本研究は、昨年の初回調査で過去1年間に転倒のなかった者を選択し、その対象を1年間追跡することにより、転倒発生がその後の転倒恐怖感、心身の健康度および日常生活に及ぼす影響の程度を明らかにすることを目的として行った。 対象と方法:調査の対象は、北海道勇払群O町に住む65歳以上の住民のうち初年度(1998年)に行った調査で転倒「なし」と報告した599人である。調査は、平成11年8月2日〜30日に各戸訪問による面接聴き取りにより行われた。調査項目は、過去1年間の転倒の有無および転倒時の状況、転倒恐怖感、動作に対する自己効力感、既往歴、健康度自己評価、生活満足度、手段的動作能力、知的能動性、社会的役割、ソーシャルネットワーク、日常の生活習慣などである。 結果:調査対象とした599人のうち、518人(86.5%)から回答が得られた。追跡期間における転倒者は68人(13.1%)、非転倒者は452人(86.9%)であった。これらの転倒群および非転倒群を対象として、転倒が生活の質に与える影響を評価した。(1)転倒群は、非転倒群に比べて転倒への恐怖感が増し、転ぶことが怖くて普段の行動を制限する傾向にあった。主観的健康度や生活満足度は、転倒群では初回から追跡にかけて低下したが、非転倒群ではむしろ増加傾向にあった。(2)転倒群は非転倒群に比して、「兄弟や近隣との交流」、「社会的役割」得点、および「社会的な生活習慣」得点において顕著な低下を示した。これらから、高齢者の転倒はその後の再転倒への不安を増すだけでなく、健康感や満足度などの主観的QOLを低下させ、さらには社会的役割や人々との交流を制限するように働くことが示唆された。しかし、後期高齢者において、転倒が生活の質に与える影響はより強くなるとの仮説は必ずしも支持されなかった。
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