1999 Fiscal Year Annual Research Report
血清p53蛋白濃度と高濃度石綿曝露歴の関連性に対する分子疫学的研究
Project/Area Number |
10670367
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中館 俊夫 昭和大学, 医学部, 教授 (60155760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 優子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30167580)
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Keywords | 閉寒性肺疾患 / 一秒量 / 血清p53蛋白 / 尿中8OHdG / 縦断研究 / 予測 / アスベスト / 鉱物繊維 |
Research Abstract |
本年度は、1985年より継続して観測を行っている職域のコホートに対して、昨年度に引き続き野外調査を実施し210名から有効な結果を得た。調査項目は以下の項目である。 (1)血清中p53蛋白、Mutant-p53蛋白の測定 (2)血清中抗p53蛋白抗体の検出 (3)尿中8-hy-droxy-2'deoxyguanosine(8OHdG)の測定 (4)白血球中80HdGの測定 (5)肺機能測定(スパイロメトリー、最大努力性呼出曲線) (6)呼吸器症状・生活習慣等の質問票調査 (7)業務歴調査 このうち(2)(4)は今年度新たに追加した測定項目である。p53蛋白(pg/ml)の測定は、ELISA(PAb1801抗体で検出)キットで行い、8OHdG(nmol/mmolCRE)は、ELISA(8OHdG特異的モノクローナル抗体N45.1で検出)で測定した。肺機能はローリングシール型スパイロメータを用い、呼吸器症状、業務歴等は標準化質問票および面接によって調査した。 最後の調査が平成12年2月であったため、まだ最終的な解析を行っている途中であるが、現時点までの予備的な解析で、血清中p53蛋白、Mutant-p53蛋白、尿中、白血球中8OHdGには大きな個人間変動が認められた。また昨年度の値との間には、相関係数0.3〜0.4程度の軽度の、しかし有意な相関が認められた。現在、質問票で得られた現病歴、既往歴、また持続性のせき・たんなどの慢性呼吸器症状やその他の自覚症状、喫煙等の生活習慣関連要因、および肺機能との関連性を検討しているが、肺機能加齢低下の加速と血清中p53蛋白、尿中8OHdG値の間に有意な関連が認められており、石綿曝露と個体の感受性という観点から興味深い結果である。石綿累積曝露との関連は、これらを加味した上で、また昨年度の測定対象者の結果とあわせて、解析の詳細を研究成果報告書にまとめる。
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[Publications] 山野優子: "産業分子疫学へのバイオマーカーの応用に関する研究。3アスベスト曝露作業者への分子生物学的マーカーの応用"産業衛生学雑誌. 41・増刊. 354 (1999)
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[Publications] 山野優子: "酸化ストレス指標80HdG値と青年期における生活習慣との関係"産業衛生学雑誌. 41・増刊. 221 (1999)
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[Publications] 山野 優子: "環境発がんのブラックボックスをさぐる-産業分子疫学のチャレンジ-"(財)労働科学研究所. (1999)