1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物性たんぱく質と健康-菜食者の血漿アミノ酸とインスリンを中心とした検討-
Project/Area Number |
10670369
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Research Institution | Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
土田 満 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教授 (00163824)
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Keywords | 植物性たんぱく質 / 健康 / 菜食 / 血漿アミノ酸 / インスリン / グルカゴン / 総コレステロール / 体脂肪 |
Research Abstract |
動物性たんぱく質を控え、植物性たんぱく質を豊富に摂取する健康効果のひとつとして、摂取たんぱく質中のリジン、アルギニン等のアミノ酸の血漿アミノ酸を介したインスリンとの関係が諸外国で報告されている。日本人における報告は少ないことから、植物性たんぱく質を主なたんぱく質源とする菜食者と一般健常者により検討を加えた。 対象と方法は、SDAボランティアグループのなかから50〜60歳代の卵乳菜食者(菜食群)と病院人間ドックを受診した一般健常者(対照群)を性、年齢をマッチさせ男女10名(男5名、女5名)づつ無作為に選択した。食事調査、血漿アミノ酸分画濃度、血清インスリン、グルカゴン濃度、そしてコレステロール等の脂質系成分値、そして体脂肪等を測定し、対照研究を行った。 食物摂取頻度調査では豆類が菜食群で、肉類、魚類が対照群で有意に多かった。緑黄色や淡色野菜、果物そして穀類等の摂取頻度にほ両群にほとんど差はなかった。食事記録から算出した摂取栄養量では、食物繊維、動物性と植物性たんぱく質の摂取比率等に有意な差が認められた。動蛋比は菜食群で17%、対照群で47%であった。 血漿アミノ酸分画濃度は、菜食群でリジンとリジン/アルギニン比が有意に低かった。血糖値、インスリン濃度は菜食群で有意に低く、グルカゴンは高めの傾向にあった。また、コレステロール濃度も有意に低く、中性脂肪も低かった。 体脂肪の分布状況は、BMI,体脂肪率、ウエスト囲、ウエスト/ヒップ比など菜食群で若干低めあったが、対照群との有意な差は認められなかった。 以上から、諸外国の報告を踏まえて本研究結果を考察すると、種々の関連因子のなかで、菜食における豊富な植物性たんぱく質も血漿アミノ酸を介してインスリンやグルカゴンの分泌に一部関与している可能性が示唆された。総コレステロール等脂質成分値もインスリン、グルカゴンに関係していることも考察された。
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