1998 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザウイルスの流行の早期発見の決め手
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10670376
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中川 直子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (10280835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 良信 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, ウイルス課長 (30112064)
前田 章子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (40250279)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 診断 / 疫学 |
Research Abstract |
1. 新しいタイプのB型インフルエンザウイルスの早期診断 患者の検体(咽頭ぬぐい液、うがい液)からウイルスを分離し、赤血球凝集阻止(HI)試験で型同定を行ったところ、96/97シーズンには、B型インフルエンザウイルスは、従来流行していた山形タイプと再興流行したビクトリアタイプの2つの抗原性の異なるウイルスが分離された。 97/98シーズンは大阪府内ではB型インフルエンザウイルスが分離されなかったが、翌シーズンの流行を予想するため、近県より分離株を入手し、その型別および抗原性をチェックしたところ、塩基配列より山形タイプのウイルスではあるが、従来の山形タイプと抗原性の異なるウイルスが分離されていたことが判明した。そこで、このウイルスをマウスに免疫し、モノクローナル抗体を作製した。98/99シーズンは大阪府にてB型インフルエンザウイルスの流行がみられたが、分離ウイルスは、感染研よりの標準フェレット血清によるHI試験ではビクトリアタイプ、山形タイプの両方に同等に反応し、どちらのタイプに属するが判別できなかった。若年者のビクトリアタイプに対する抗体保有率は低く、また、98年度のワクチンには山形タイプのみが入っていたので、流行規模が懸念されたが、新しく作製したモノクローナル抗体を用いてPAP染色を行ったところ、山形タイプに属するウイルスであることが判明した。大阪府の98/99シーズンのB型インフルエンザウイルスの流行は特に大きなものにならずに終息するものと思われる。 2. AH5型インフルエンザウイルスの早期診断 AH5型のインフルエンザウイルスの流行に備えて、A/Turkey/Ontario/7732/66(H5N9)をマウスに免疫し、モノクローナル抗体を作製中である。H5に特異的に、また、幅広く反応する抗体を選別しを作製し、PAP染色に応用し診断に役立てる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Naoko Nakagawa: "Rapid detection and identification of two lineages of influenza B strains with monoclonal antibodies" Journal of Virological Methods. in press (1999)
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[Publications] 前田 章子: "新しい目でインフルエンザをみる 流行の歴史" 臨床と微生物. 25:増刊号. 631-644 (1998)
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[Publications] 奥野 良信: "新しい目でインフルエンザをみる ヒトインフルエンザの疫学" 臨床と微生物. 25:増刊号. 655-665 (1998)
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[Publications] 前田 章子: "インフルエンザ" クリニカ. 25:5. 7-11 (1998)
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[Publications] 奥野 良信: "地方衛生研究所のインフルエンザへの関わり" Modern Physician. 18:11. 1308-1310 (1998)
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[Publications] 箱田 滋: "髄液からインフルエンザA香港型が分離された髄膜脳炎の成人例" 病原体検出情報. (印刷中). (1999)