1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒木 尚長 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30225289)
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Keywords | 酸素欠乏 / ラット / 二酸化炭素 / 突然死 / 窒素 / ヘリウム |
Research Abstract |
酸素欠乏によるヒトの急死の病態を再現できる動物モデルを探し、循環動態を調べる実験を行った。オスのウィスター系ラットが適当とわかった。ネンブタール腹腔内投与麻酔下のラットを900mlサイズのペットボトル(工作後)に入れ、動脈カニュレーション後に、血圧、呼吸数などの循環動態を調べた。麻酔による呼吸抑制がないことを血液ガス測定により確認し、ペットボトルに3種類の無酸素ガス(窒素ガス、炭酸ガス、ヘリウムガス)を急速充填させる方法で無酸素状態を作成し、呼吸停止、心停止に至るまでの循環動態を測定し血液ガスを測定した。 無酸素下での呼吸停止は窒素ガスで15.4±1.5秒で生じ、ヘリウムガスは17.8±2.4秒、炭酸ガスは19.3±1.8秒とガスの種類による差がみられた。心停止までの時間も窒素ガスで246±30秒、ヘリウムガスで263±88秒、炭酸ガスで263±88秒と各種ガス間で差があった。呼吸停止直後(開始後30秒)の血液ガスデータは、窒素ガスの平均値はPaO_222.2mmHg,PaCO_230.9mmHg,pH7.32BE-8.7、ヘリウムガスPaO_224.2mmHg,PaCO_220.4mmHg,pH7.42BE-7.5、炭酸ガスPaO_242.3mmHg,PaCO_2379mmHg,pH6.57BE-19.9と差がみられた。呼吸停止に至るまでの病態にも差があり、窒素ガスでは全くみられなかった不整脈が、炭酸ガスでは平均5.3秒でみられた。 酸素欠乏の病態は主に2つあり、二酸化炭素を含まない無酸素ガスによる突然死は、著しい低酸素血症が原因と考えられる。また、高濃度の二酸化炭素を含む無酸素ガスによる突然死は高炭酸ガス血症に基づくアシドーシスが主たる要因と思われ、アシドーシスに基づく不整脈が致死的と考えられ、低酸素自体の影響はさほど大きくない。
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