1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性覚醒剤投与ラットにおける海馬および黒質神経細胞内のCa応答に関する研究
Project/Area Number |
10670392
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
伊藤 洋子 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (30176375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猩々 英紀 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60284626)
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Keywords | 覚醒剤 / 神経学 / カルシウム濃度 / イオンチャンネル / コレシストキニン / 海馬 / 脳 |
Research Abstract |
慢性覚醒剤中毒患者における脳・神経障害・錯乱・幻聴等を検討するきっかとしてラットに覚醒剤の慢性投与をおこない、そのラットにおいて海馬および黒質神経細胞内のCa応答に関して研究をおこなった。本年度においてはまずラット慢性覚醒剤投与群より大脳、脳幹、中脳より神経細胞を摘出し、その一部においてはコレシストキニンBの局在を免疫組織学的に検討した。その結果コントロールに比し特に海馬神経細胞においてコレシストキニンの染色性の増加が顕著であった。また、この海馬神経細胞の中でもほとんど染色性を示さない細胞が混在して認められた。更に中脳においては黒質の神経細胞の周囲の小血管内皮細胞周囲において強陽性所見が散在性にみられており次年度において更に検討を行う予定である。 ついで上記神経細胞内の{Ca2+}の動態についてであるが、パパイン処理によりdissociateした後培養を試み、Ca感受性色素fura-2を投与し細胞内の濃度変化による蛍光変化の測定を試みた。しかし明らかにCa濃度の増加傾向を、コントロールに比しとらえることが出来たのは上記の部位と同じく海馬神経細胞の一部においてのみであり、ほかの部位においては結果が不安定であるので今後共焦点レーザー顕微鏡を用いるか、あるいは蛍光色素の種類及び濃度を変化させて、より非特異的な値の増加を抑制し、覚醒剤の実質的な反応性を検討する必要性が明らかとなった。また、神経細胞が高度に変性、壊死に陥っている場合のCa濃度の測定方法についてもより詳細な検討が必要であることが示された。
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