1998 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷受傷早期における神経系各構成成分の変化の検索とその法医学的診断への応用
Project/Area Number |
10670395
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小片 守 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10152373)
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Keywords | 頭部外傷 / びまん性軸索損傷 / 免疫組織化学 / オリゴデンドログリア / ミクログリア / カーボニック・アンヒドラーゼ / CNPアーゼ / RCA,レクチン |
Research Abstract |
極めて早期に死亡した頭部外傷例においては,現在までのところ明確に軸索損傷を示唆する所見が得られていない。そのような場合の脳障害の程度を知るため,軸索とgliaの変化を併せて検討することを企図し,今まで,astrocyteの変化について検討を重ねてきた。 本年度は,頭部外傷におけるoligodendroglia(OG)の動向について,免疫組織化学を応用して検討を加えた。 法医解剖例の脳梁標本について,carbonic anhydrase I(CA)と2′3′-cyclic nucleotide 3′-phosphohydrolase(CNPase)に対する各抗体を用いてOGを免疫組織染色した標本を作製し観察した。軸索及びastrocyteの染色標本も作製し,併せて検討した。 頭部外傷を伴わない対照例では,CA染色によって一部のOGが染色されたのみで,CNPase染色では殆ど染色されなかった。一方,頭部外傷例では,いずれの染色によっても陽性細胞を認め,受傷後数時間以上生存した例では腫大したOGが染色された。さらに,著明な軸索変化を認めない早期死亡例においても核濃縮を示すOGが染色された。なお,astrocyte染色によってもこれら早期死亡例に核濃縮像を認めた。 従って,これらOG染色は頭部外傷におけるOGの早期変化を検索する上で有用な方法であることが示唆された。特に,CNPase染色によれば,対照例のOGが殆ど染色されず,頭部外傷に特異的なglia変化を検出できる可能性が示唆されたため,今後さらに検討する価値があるものと考える。
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