1999 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライトの同一個体内での不均一性とDNA鑑定に及ぼす影響
Project/Area Number |
10670402
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 了 東京医科大学, 医学部, 助手 (40146775)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 文雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (50001904)
平井 莞二 東京医科歯科大学, 難研, 教授 (00100991)
伊藤 幸夫 順天堂大学, 医学部, 講師 (70053345)
|
Keywords | マイクロサテライト / PCR / 個人識別 / DNA / 口蓋扁桃 / TH01 |
Research Abstract |
マイクロサテライトの多様な多型性は法医鑑定での個別識別に非常に有用である。この多型性はマイクロサテライトの変異のしやすさによるところが大きく、細胞の複製過程でのDNA合成の際に起こるスリッページが原因と考えられている。また、癌細胞(特に大腸癌)において、このマイクロサテライトの不安定性(多型性)の検出は、癌を診断する上での重要なマーカーの一つとされている。これに対して、健常人においては、DNA合成の際に起こったDNA複製産物の誤りは、hMSH2やhMLH1などのmissmatch repair genesによって修復されるため、変異を持った細胞のクローナルな増殖は考えられない。しかしながら、増殖過程にある細胞のなかで、missmatch repair genesの修復を受けず、そのDNAに変異が起こっている細胞が存在することは予想できることであり、この変異が法医鑑定に影響を及ぼすことが考えられる。本研究では、生体中に起こる正常細胞でのマイクロサテライトの変異率を求め、その変異が法医鑑定に及ぼす影響を検討している。昨年度までに、single cell-PCR法を確立し、TH01型を細胞1個からでも判定できるようにした。また、PCR増幅産物にアイソトープ標識したのちシークエンスゲルで解析することにより、1bpの長さの違いも識別することができるようになった。 本年度は、左右24例の非腫瘍性ヒト口蓋扁桃より分離した単核球1個からそれぞれTH01型を判定することを試みた。さらに、その中の2例を選んで、限界希釈法により単核球をPCR反応用のプレートに1ウェルあたり1個ずつ播き、PCR1000サンプル、nested-PCR1100サンプルの合計2100サンプルのPCRを行った。その後、^<32>Pを標識してシーケンスゲルで検定したところ、検査した450個のウェルのうち178個(39.6%)のウェルの型判定が可能で、そのうちの一つ(5.6%)に4bp短い明らかな変異を認めた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 伊藤 幸夫: "Whole genome amplificationによるABO式及びLewis式血液型関連糖転移酵素の遺伝子診断"DNA多型. 7. 237-240 (1999)
-
[Publications] 宮澤 隆仁: "抗シナプス小胞関連蛋白(SVP-38)モノクローナル抗体による脳のイメージング"脳のイメージング. 145-155 (1999)
-
[Publications] Tetsuya Ikeda: "Detection of Epstein-Barr virus productively infected lymphocytes in the non-neoplastic tonsils"J Gen Virol. (in press).