1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670405
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
富田 正文 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50113197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲也 川崎医科大学, 医学部, 助手 (90221754)
日高 和夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00069064)
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Keywords | パラコート / 酸化ストレス / グルタチオン / 脂質過酸化 / RT-PCR / A549細胞 / ラット組織 |
Research Abstract |
生理的抗酸化剤の最も重要な物質の1つであるグルタチオン(GSH)に焦点をあて、PQによるGSHの変化を細胞レベル及び動物組織で検討した。まずA549を用いて1)GSHレベルに及ぼすPQの影響、2)PQ毒性に及ぼすGSHレベルの影響を比較検討した。その結果、PQ(10〜100μM)曝露16hr〜6daysでは細胞内GSHレベルが増加し、活性酸素に対する細胞の防御反応が観察された。一方、細胞内GSHはBSO処理によって約10%まで低下するが、GSH枯渇細胞に対するPQの影響は、LDH酵素漏出を指標とする細胞膜障害で明らかに強く観察でき、ラジカルの膜脂質過酸化による細胞膜障害に対してGSHレベルが防御作用をもつことを示した。次ぎにWistarラットにPQ(20,200 mg/kg)を腹腔内投与し、臓器内のGSHおよびその合成関連酵素γ-GCS,γ-GTの酵素活性、さらにRNAを抽出しRT-PCR法で両酵素のmRNA発現レベルを調べた。その結果、PQによるGSH代謝への影響はとくに肺で顕著に観察できた。すなわち、高dose PQ群(致死レベル)でGSHレベルは減少した。mRNA発現レベルは3hrにおいてγ-GCS(約6倍),γ-GT(約2倍)と共に有意に促進したが、酵素活性の増加はみられずとくにγ-GTは有意に抑制され、その結果GSHレベルを減少させるものと思われた。一方、低dose投与群ではGSHレベルが有意に増加した。これは、γ-GCS,γ-GT両酵素のmRNAさらに活性の促進による結果であろうと思われる。とくに投与後16hrではγ-GCS,γ-GT両酵素のmRNA発現レベルおよびγ-GCSの酵素活性は有意に増加した。肝では、高dose群でγ-GCSmRNAが促進するが酵素活性の上昇はなくGSHレベルは減少傾向を示し、低dose群での影響は殆ど見られなかった。腎では、高dose投与後3hr、低dose24hrでGSHレベルが減少していた。 その他、LC/MSによりコレステロールの過酸化物を検討していく中で、腎におけるChOOHの増加がPQによる腎障害発現のトリガーになりえることを示唆する結果が得られた。(投稿中)
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[Publications] M.TOMITA et al.: "Changes in mRNAs of inducible nitric oxide synthase and interleukin-1b in the liver,kidney and lung tissues of rats acutely exposed to paraquat"Legal Medicine. 1・3. 127-134 (1999)
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[Publications] M.TOMITA et al.: "Enhancement of DNA fragmentation in PC12 cells by methamphetamine under serumfree conditions"Res.Pract.Forens.Med.. 42. 75-79 (1999)
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[Publications] J.ADACHI,M.TOMITA et al.: "7-Hydroxycholesterol as a marker of oxidative stress in rat kidney induced by paraquat"Free Rad.Res. (印刷中). (2000)
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[Publications] Masafumi TOMITA: "Effect of paraquat on the glutathione metabolism in lungs"Proceedings of Int.Assoc.Forensic Sci.(UCLA,CA). 258-259 (1999)
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[Publications] 富田正文: "ラットでのパラコートによる酸化ストレスとグルタチオン代謝"日本法医学雑誌. 53・1. 99-99 (1999)
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[Publications] 富田正文,奥山敏子: "パラコート毒性と細胞内グルタチオンレベル"過酸化脂質研究. 23・1. 59-59 (1999)