1999 Fiscal Year Annual Research Report
活性化T細胞上の膜型TNF-αの機能解析と自己免疫疾患の病態解明への応用
Project/Area Number |
10670417
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀内 孝彦 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90219212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西坂 浩明 九州大学, 医学部, 医員
吉澤 滋 九州大学, 医学部, 助手 (20191562)
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Keywords | 自己免疫疾患 / TNF / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
TNF-αは慢性関節リウマチ(RA)をはじめとした自己免疫疾患の発症に重要な役割を果たしていることが知られており、従来可溶型TNF-αがその働きの中心を担っていると考えられてきた。可溶型TNF-αは、その前駆体として細胞膜表面にとどまった形の膜型TNF-αとして表出したのち、メタロプロテイナーゼで切断をうけて可溶型として放出される。膜型TNF-αの生理学的機能はほとんど不明であったが、近年その受容体がtype2 TNF受容体であることが明らかにされ(Cell 1995)、膜型TNF-αの機能が注目されている。われわれは活性化T細胞上に発現している膜型TNF-αが、細胞と細胞の接着を介して標的細胞に作用することにより、可溶型TNF-αと全く異なる様々な免疫応答を惹起することを見いだした。すなわち、T細胞上の膜型TNF-αはautoのB細胞にはたらいて抗体産生を惹起し、また一方では抗TNF-αによりT細胞自身が活性化され、種々のサイトカインや接着分子の発現が誘導される。今回いただいた助成金を用いて我々はT細胞の表面上に存在する膜型TNF-αの機能発現に必須の細胞内シグナル伝達経路ならびにシグナル伝達に関与する分子の同定を行った。その結果細胞内シグナル伝達経路としてチロシンリン酸化が重要であること、膜型TNF-αに会合する分子としてB cell-associated protein(BAP37)を見いだした。さらにRA滑膜細胞での膜型TNF-αの発現、in vitroでの抗TNF-α抗体投与による滑膜増殖への効果についても検討した。我々の研究は従来のサイトカインの生理作用が可溶型のみを介するという概念とは全く異なり、細胞膜にとどまった形(膜型)のサイトカインの新しい機能に着目したものであり独創的である。膜型TNF-αは細胞表面機能分子として特に炎症局所での免疫応答をつかさどると考えられ、われわれの研究は新しい視点からのRAの病態解明と治療戦略の構築を可能にすると考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Inazuka M et al.: "Analysis of p53 tumour suppressor gene somatic mutation in RA"Rheumatology (Oxford). (in press).
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[Publications] Kojima T et al.: "Analysis of Fas L gene mutation in patients with SLE"Arthritis Rheum.. 43. 135-139 (2000)
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[Publications] Higuchi M et al.: "Establishment and characterization of Fas resistant T cell line"Acta Haematol.. 102. 22-30 (1999)
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[Publications] Horiuchi T et al.: "Association of Fas/APO-1 polymorphism with SLE in Japanese"Rheumatology (Oxford). 38. 516-520 (1999)
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[Publications] Horiuchi T et al.: "A novel nonsense mutation at Glu631 in a Spanish family of C7D"J. Hum. Genet.. 44. 215-218 (1999)
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[Publications] Horiuchi T et al.: "An Nco I polymorphism in the human C7 gene"J. Hum. Genet.. 44. 270-271 (1999)