1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトパピローマウイルスを特異的に認識するT細胞の誘導とそのエピトープの解析
Project/Area Number |
10670434
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
津久井 拓 日本医科大学, 医学部, 助手 (80197665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 俊行 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60188175)
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Keywords | パピローマウイルス / ヘルパーT細胞 / キラーT細胞 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトパピローマウイルス・タイプ16(HPV-16)の癌遺伝子(E6、E7)産物を特異的に認識するヘルパーおよび、キラーT細胞を感染初期の患者より誘導し、その存在を証明するとともに誘導しえたT細胞の特徴と抗原認識の分子機構を明らかにすることを目的とする。 平成10年度、産婦人科外来に種々の理由で来院し内診にて子宮頚部粘膜にdysplasiaを認めた患者より、インフォームドコンセントをとりえた約100人から子宮頚部の粘膜細胞を採取し、RT-PCR法を用いて38人のHPV-16感染者を選別した。また、この38人より末梢血単核球を採取し、HLAの同定を試みるとともに、さまざまな方法を用いてHPV-16E6、E7のペプチド特異的なT細胞の誘導を試みた。その結果、採取したリンパ球をマイトージェンを用いて刺激した場合、現時点で5人中2人よりHPV-16E6、あるいは、E7のペプチド特異的なキラーT細胞を誘導し得た。現在他の症例も同様の方法で特異的キラーT細胞の誘導を試みると同時に、誘導したキラー細胞のHLA拘束性、表面抗原、認識するペプチド配列を解析している。また、採取したリンパ球をHPV-16E6、E7のペプチド混合液を用いて刺激した場合、10人中4人よりIL-2の産生が検出でき、この細胞から単一の抗原特異的なヘルパーT細胞ラインの作成を試みている。今後は、今年度確立しえた方法を用いて、他の患者末梢血単核球より抗原特異的なキラーおよびヘルパーT細胞の誘導を試み、細胞株を樹立しその特徴の解析につとめたい。
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