1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670446
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
飯塚 政弘 秋田大学, 医学部, 助手 (00241654)
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Keywords | Crohn病 / 麻疹ウイルス / 分子クローニング法 |
Research Abstract |
【背景】Crohn病(CD)の病因として麻疹ウイルスの持続感染説が提唱されている。一方、われわれは昨年までの研究で、CD腸組織より麻疹類似ヒトタンパク(CDX)をクローニングすることに成功した。CDXは麻疹ウイルスそのものではないが、麻疹ウイルスと共通抗原性を有しているため、molecular mimicryの機序を介してCDの発症に関与している可能性がある。この仮説を証明するため、本年度は以下のような研究を行った。 【対象と方法】1)CDXに対するmonoclonal抗体(4F12)を作製し、同抗体によりCD20例、潰瘍性大腸炎(UC)20例、その他の腸炎(non-IBD colitis)11例、コントロール9例の大腸組織の免疫組織染色を行った。2)大腸以外のヒト臓器におけるCDXの分布を免疫組織染色で調べた。3)CDXをGSTとの融合タンパクとして発現させ、ECL-Western blot法にてCD15例、UC15例、正常15例の血中CDX抗体の有無を検討した。 【結果】1)大腸組織中のCDX抗体陽性細胞はCDのみならずUC,non-IBD colitisでも増加していた。2)CDXは正常大腸、食道、胃、十二指腸、回腸、肺にも少数認められた。3)Western blotの結果、CD5例においてCDXと反応するバンドを認めた。 【考察】本年度の研究により、CDXはCDに特異的に認められる物質ではないことが明かとなった。しかしながら、CD患者の1/3がCDXに対する抗体を有していることより、CDXは一部のCD患者において自己免疫反応のターゲットとなっている可能性がある。この仮説の真偽を明らかにするため、次年度もさらに本研究を継続していく予定である。
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