1999 Fiscal Year Annual Research Report
アヒルB型肝炎ウイルスを用いた肝炎ウイルス増殖機構と感染成立機構の解明
Project/Area Number |
10670452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 隆 東京大学, 保健管理センター, 講師 (50202958)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 受容体 / 感染 / 増殖 / DHBV |
Research Abstract |
アヒルB型肝炎ウイルス(DHBV: duck hepatitis B virus)をモデルとしてB型肝炎ウイルスの感染成立機序の研究および増殖機序の解析を進めている。我々はDHBVの外被(envelope)蛋白と結合する糖蛋白gp180を同定したが、これはHIVのCD4に相当するDHBVの高親和性受容体と考えられる。gp180はcarboxypeptidase Dという新規の酵素であることがわかったが、ドイツおよび米国の研究グループが我々の実験結果に基づいてgp180についての解析を行い、DHBVの感染成立に不可欠の蛋白であることを示した(Urban S.et al J Virol72:8089,1998;J Biol Chem274:5707,1999;Tong S,et al.J Virol 73:8696,1999)。しかしgp180のみでは感染成立は起こらず別の機能分子の存在が想定されている。我々はgp180のDHBVpreS領域への結合部位の解析およびサギB型肝炎ウイルス(HHBV)とDHBVとのキメラウイルスの解析からgp180以外の機能分子結合部位を同定してきた。またこの研究の過程でDHBVの(-)鎖および(+)鎖の形成に関わる重要な領域がDHBVpreS領域内に存在することが解明されてきた。両者の責任領域は興味深いことにDHBV preS内の第22-37アミノ酸の領域に存在することがわかった。ドイツのUrbanらとの共同研究にて膜結合ドメインを除きバキュウロウイルスを用いて発現させた可溶性gp180とDHBV/HHBVのキメラpreS蛋白の結合および解離速度を表面プラズモン共鳴センサーであるBIAcoreを用いて解析した。その結果初代アヒル肝細胞(PDH)への感染性が認められてるDHBV/HHBVのキメラであるHDC-8,HDC-9,HDC-10(いずれもgp180結合領域である第43-108a.a.よりN末端側のキメラ)は可溶性gp180との結合速度および解離速度が、PDHへの感染効率の低いHHBV preSとほとんど同等であった。我々はgp180のstableなtransfectantのcell lineを確立しており、この系を用いて、感染成立に重要な機能をするaccesory moleculeの同定を試みている。
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