1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一瀬 雅夫 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50143425)
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Keywords | アポトーシス / 消化管上皮組織 / Anoikis |
Research Abstract |
1.前年度に続き、ラットを用いたin vitroの系で検討を行った。TGF-βファミリーにより誘導されるアポトーシスは、Insuline,chlera toxin,HGFやEGF等の存在下で容量依存性に抑制された。胃上皮組織におけるこのanoikisの過程は、ハイドロコーチゾン(HC)やNSAIDSにより著明に促進された。HCは、胃粘膜上皮組織初代培養系を用いた検討において、上皮におけるTGF-βの産生を促進する事から、後者を介して働く事が想定された。TGF-βファミリーの増殖因子により誘導されるアポトーシスおよびanoikisの過程は、共に、tyrosine-phosphatase阻害剤であるsodium orthovanadateにより容量依存性に阻害された。現在、Focal adhesion Kinase(FAK)を中心とした蛋白のtyrosineリン酸化、および活性化されるcaspaseの分子種について検討中である。 2.発癌過程におけるイニシエーターおよびプロモーターのアポトーシス調節機構に対する影響を検討するために、ラット胃の化学発癌のシステムを使用して、MNNG、NaCl、phorbol ester投与を行った胃上皮組織を試料として上記二種のアポトーシスの過程を検討した。形態学的にPAPG(pepsinogen altered pyloric gland)等が出現し、発癌過程が進行中である事と判断できる組織を検討したが、今回の発癌実験系ではアポトーシス調節機構の変化は認められなかった。 以上の結果より、消化管上皮組織のアポトーシスは液性増殖因子および細胞外基質の構成成分により消化管の部域および発生成長のステージに特異的に制御されていると考えられた。消化管上皮組織のapoptosisの過程を制御しているFAKをはじめとする蛋白リン酸化による調節機構の存在が示唆された。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] M. Sugiyama: "Endoscopic resection of adenoma of the minor papilla"Hepatogastroenterology. 46. 189-192 (1999)
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[Publications] M. Matsushima: "Purification and further characterization of enteropeptidase from porcine duodenum"Journal of Biochemistry. 125. 947-951 (1999)
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[Publications] A. Tsukamoto: "Regulation of angiogenesis in human hepatomas : possible involvement of p53-inducible inhibitor of vascular endothelial cell proliferation"Cancer Letters. 141. 79 (1999)
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[Publications] M. Kido: "Normal levels of serum glycoproteins maintained in β-1,4-galactosyltransferase I-knockout mice."FEBS Letters. 464. 75-79 (1999)
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[Publications] 一瀬 雅夫: "成体ラット消化管上皮組織分離法および胃幽門腺上皮組織無血清単独初代培養系の確立"Therapeutic Research. 20. 161-167 (1999)
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[Publications] 矢作 直久: "救急に必要な症候の鑑別とファーストエイド 14.しゃっくり救急当直ガイド"臨床医. 25. 866 (1999)
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[Publications] 辻 正弘: "インフォームドコンセントの実際 上部消化管内視鏡検査"内科. 83. 1019-1021 (1999)
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[Publications] 加藤 真子: "逆流性食道炎の再発予防におけるランソプラゾールとオメプラゾール 長期比較研究"APT Digest. 2. 12-14 (1999)
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[Publications] 矢作 直久: "ベッドサイドのGastroenterology 8.ベッドサイドの内視鏡検査法"内科. 83. 958-960 (1999)
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[Publications] Y. Shimizu: "Benzo[a]pyrene carcinogenicity is lost in mice lacking the aryl hydrocarbon receptor"Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 97. 779-782 (2000)
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[Publications] T. Kageyama: "Molecular cloning of neonate/infant-specific pepsinogens from rat stomach mucosa and their expressional change during development"Biochemical and Biophysical Research Communications. 267. 806-812 (2000)
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[Publications] 一瀬 雅夫: "ペプシノゲンによる胃癌検診"内科. 85. 311-316 (2000)
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[Publications] 岡 政志: "胃癌治療のスタンダード治療方針の決定の仕方"内科. 85. 265-268 (2000)
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[Publications] 塚田 真子: "急性腸炎、消化性疾患最新の治療"戸田剛太郎、杉町恵三、中村孝司. 152-154 (1999)
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[Publications] 一瀬 雅夫: "十二指腸、小腸、日本消化器内視鏡学会認定医学術試験問題解答と解説"日本消化器内視鏡学会監修&責任編集. 132-137 (1999)