2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドミナントネガティブトランスジェニックマウスを用いた肝臓でのレチノイドの機能解析
Project/Area Number |
10670473
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Research Institution | Second Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Tottori University |
Principal Investigator |
汐田 剛史 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70263457)
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Keywords | レチノイン酸 / ドミナントネガティブ / トランスジェニックマウス / 肝細胞特異的 / 脂肪性肝炎 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
肝細胞特異的にレチノイン酸レセプタードミナントネガティブ(RARE)トランスジェニックマウスを作成した。このマウスは脂肪性肝炎を生じ、やがて肝細胞癌を発生した。まず、脂肪変性は小滴性脂肪変性であり、門脈域優位に発生した。また、巣状壊死が、小葉内に発生したが、中心静脈の近傍に発生する傾向を認めた。月齢12か月より、肝腫瘍を発生した。肝腫瘍は月齢とともに増加し、月齢18か月では70%以上のマウスに発生した。一方、野性型マウスでの肝腫瘍の発生はなかった。脂肪変性をきたしたので、脂肪酸の代謝異常があると考え、脂肪酸代謝の検討を行った。その結果、ミトコンドリアでのべータ酸化が低下し、ペルオキシソームでのべータ酸化が亢進していた。さらにエンドプラスミックレチクルムのオメガ酸化の亢進を認めた。これはサイトクロームp450cyp 4a12、cyp4a14により媒介され、さらにジカルボン酸の発生が認められた。ジカルボン酸はペルオキシームのべータ酸化の基質となるため、ペルオキシソームのさらなる亢進につながるものと考えられる。そして、この際発生する過酸化水素、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素発生量は明らかに増加していた。したがって、これらの脂肪酸の代謝異常が脂肪性肝炎、肝細胞癌の発生に寄与するものと推定される。
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