1999 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の発生機序におけるサブスタンスPmRNAの発現とその抑制機構の研究
Project/Area Number |
10670476
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岸本 眞也 広島大学, 医学部, 教授 (60093746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 かおり 広島大学, 医学部, 助手 (40263701)
春間 賢 広島大学, 医学部, 講師 (40156526)
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Keywords | 大腸炎モデル / 硫酸デキストランNa塩 / Snbstance P / Snbstance P受容体拮抗材 / 隆起性病変 / mRNA / サイトカイン |
Research Abstract |
高分子硫酸化デキストラン(DSS)投与によって作成した大腸炎の実験モデルにおいて,大腸粘膜に発生した炎症が大腸腫瘍発作の重要な背景因子の一つであると考えて,大腸炎モデルの発生機序にサイトカイン,substanceP(SP)が関与していることを前回の研究助成金で明確にした.今回の研究では,ラットモデルに投与したSP拮抗材(SP-RA)が炎症と隆起性病変の発生を抑制するか否かを検討した.H10年度ではSP受容体拮抗剤が炎症と隆起性病変の発生を抑制することが明らかになったので,今年度はSP受容体桔抗剤投与後の大腸の病理,大腸壁内のMPO活性,炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-1β)量,両サイトカインのmRNA,SPのmRNA,GRO/ClNC-1のmRNA発現状況をSPRAとDSS投与後2,4,8,12週で観察した. (成績)SP-RA投与群のラットは非投与ラットに比較して,1.体重からみて栄養状態は良好であった.2.大腸粘膜の組織学的損傷スコアは有意に低値であった.3.大腸隆起性病変の発生は少なかった.4.大腸壁内MPO活性は有意に低値であった.5.IL-1α,IL-1βの大腸壁内濃度は8週までのラットにおいて有意に低値であった.6.SPmRNAの発現は2週において強い発現を示したが,その後の週では差はなかった.7.IL1-αmRNAは2,4週で弱い発現であった.8.IL-1βmRNAは2,4週で弱く発現し,8,12週で強い発現であった.9.GRO/CINC-1mRNAは2,4週で弱い発現を示し,逆に8,12週で強く発現していた. (まとめ)SP受容体拮抗剤が大腸粘膜の好中球浸潤の抑制,サイトカイン発現の抑制によって大腸粘膜の炎症と隆起性病変の発生を抑制することが示唆された.
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