1998 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌および大腸癌におけるN-アセチルガラクトサミン転移酵素アイソザイムの発現
Project/Area Number |
10670483
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
森田 雅範 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30191034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 功 高知医科大学, 医学部, 助手 (30237747)
円山 英昭 高知医科大学, 医学部, 教授 (00034645)
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Keywords | 大腸癌 / 膵癌 / N-アセチルガラクトサミン転移酵素 / 免疫組織染色 / 転移 / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
ヒトUDP-N-アセチルガラクトサミン:ポリペプタイドN-アセチルガラクトサミン転移酵素アイソザイムT1およひT2の合成ペプタイドに対するウサギ抗血清を作製し、大腸癌における同酵素アイソザイムの発現を免疫組織染色(ABC法)にて検討した。大腸癌症例(n=50)の手術摘出標本の同一切片上にある正常および癌組織におけるT1およびT2蛋白発現をgrade分類した(後述)。各症例における正常部と癌部との比較により、癌化に伴う発現の変異をup-grading(UP)、stable-grading(ST)、down-grading(DW)の3群に分け、種々の臨床像との関連につき検討した。grade分類は観察した大腸上皮細胞における染色陽性細胞数の比率により、全く染色細胞のみられないものを(-)、〜5%までを(+)、5〜50%を(++)、50%以上を(+++)として分類した。 1.T1/T2発現:正常部で(-)54/48%、(+)16/18%、(++)20/24%、(+++)10/10%、癌部で(-)34/26%、(+)26/28%、(++)20/20%、(+++)20/26%の発現を認め、同一組織切片における観察で(UP)36/40%、(ST)50/40%、(DW)14/20%の発現変異を認めた。 2.遠隔転移の有無と発現変異との関連:遠隔転移のなしとありの症例におけるT1発現の変異は(UP)33v.s.42%、(ST)48v.s.53%、(DW)19v.s.5%で、T2発現の変異は(UP)33v.s.53%、(ST)42v.s.37%、(DW)26v.s.10%であり、遠隔転移を有する症例では無い症例に比しT1およびT2とも発現の増強するものが多く、逆に発現の減弱するものは少なかった。 3.性差、年齢、癌の存在部位、組織学的分化度などの臨床像と発現変異との関連は認められなかった。 以上の結果より、大腸上皮細胞の癌化に伴うT1およびT2の発現の変異は症例により異なり一定の傾向はみられないが、遠隔転移をきたす症例では発現の増強を示すものが多いことより、同酵素の発現と癌転移との関連が示唆された。今後、同酵素の他のアイソザイム(T3、T4、T5)の発現を検討し、さらに膵癌症例でも同様の検討を行う予定である。
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