1998 Fiscal Year Annual Research Report
プルニル化蛋白を標的とした膵癌のアポトーシス誘導療法
Project/Area Number |
10670491
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
照井 健 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50281233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
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Keywords | 膵癌 / イソプレノイド / アポトーシス / caspase / G蛋白質 |
Research Abstract |
1、 研究の目的 膵癌は、これまで試みられてきた様々な集学的治療に対して全く無効で、最も予後不良な疾患の一つであり、その治療には新しいモダリテイが必要であると考えられる。ところで膵癌の分子生物学的特徴として、Rasの活性化に基づく細胞増殖の亢進が90%以上に見られることから、そのシグナル伝達経路の阻害を標的とした方法が有力な抗がん治療となり得る。そこで本研究ではイソプレノイドを化学合成した誘導体ゲラニルゲラニオール(GGO)およびファルネソール(FO)FOを用いて標的蛋白のファルネシル基を修飾し、その蛋白の機能を阻害することにより細胞増殖を抑制する新しい治療法の開発を目的とする。 2、 研究成績 (1) 膵癌由来細胞株に対するGGOおよびFOの感受性 複数のヒト膵癌由来細胞株(Panc-1,MIAPaCa-2,AsPC-I,BxPC-3,1B2C6)の細胞増殖に及ぼすGGOおよびFOの効果をMTT法で検討した。薬剤未処理をコントロールとするIC50はGGOが20-50μMでFOは25-75μMであった。また3例の膵癌患者腹水より分離した新鮮癌細胞に対するIC50はGGOが25-70μM、FO25-60μMがであった。 (2) GGOおよびFOによる細胞増殖はアポトーシスの誘導作用であることをDNAのfragmentationおよびTUNEL法で確認した。 (3) アポトーシス誘導の機序は、caspases阻害剤を用いた検討よりcaspases(ICE,CPP32)を介さない未知の経路である可能性を見出した。 今後、GGOおよびFOにより修飾されるRasなとのG蛋白質の活性、局在の変化の面からイソプレノイドの作用機序を検討し、さらにin vivoにおける効果と副作用を検討する予定である。
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