1998 Fiscal Year Annual Research Report
非ステロイド系消炎鎮痛剤による大腸癌の発癌予防機構の検討
Project/Area Number |
10670499
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
太田 慎一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30185269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴場 裕巳 埼玉医科大学, 医学部, 研究助手
加藤 章 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30204457)
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Keywords | 大腸癌 / NSAID / COX / マクロファージ |
Research Abstract |
ヒト大腸腺腫および大腸癌におけるCOX-2の局在を免疫組織学的に検討し以下の事が明らかとなった。 1. COX-2の免疫組織化学検討に用いた抗COX-2抗体(IBL18518)は培養ヒト線維芽細胞におけるIL-1β刺激によるCOX-2の誘導を免疫組織化学及びwestern blotting法にて認識した。 2. COX-2はヒト大腸腺腫の腫瘍表面下の非上皮細胞に強く発現していた。 3. COX-2の発現する細胞の局在はCD68陽性細胞のそれとほぼ一致しマクロファージが主体と考えられた。 4. 定量的に非上皮細胞でのCOX-2の発現は腫瘍細胞での発現との間に有為差を認めた。 5. ヒト進行大腸癌では腫瘍細胞および間質細胞にCOX-2の発現を比較的弱く認めた。 6. プロスタグランジン(PG)E1はヒトマクロファージの実験モデルであるU-937細胞の血管内皮増殖因子(VEGF)を強く誘導した。 7. PGE1はU-937細胞のcAMPを上昇させた。 8. 8 bromo-cAMPおよびコレラトキシンはU-937細胞のVEGF産生を亢進させた。 9. U-937細胞にはRT-PCR法での検討でEP2とEP4PG受容体が発現していた。 以上のことからNSAIDの大腸癌発生抑制にはヒト大腸腺腫のマクロファージに発現するCOX-2が関与し、機能的にはPG産生抑制によるVEGFの低下が一部関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Ota, Y.Tanaka, H.Banaba, A.Kato, F.Matsuzaki: "Nonsteroidal anti-inllammatory druugs may prevent color cancer through suppression of hepatocyte growth factor" European Journal of Pharmacology. 367. 131-138 (1999)