1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生における細胞周期(特にG1期)制御機構の解明
Project/Area Number |
10670500
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
加藤 章 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30204457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 慎一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30185269)
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Keywords | 肝再生 / 細胞周期 / サイクリンD |
Research Abstract |
ラット再生肝におけるG1期の制御機構を解明する目的で、5週令雄性ラットに70%部分肝切除を施行し経時的に残存肝を摘出し、BrdUの取り込みによる細胞増殖動態を観察した。肝切除後18時間目から門脈周囲の肝細胞にBrdUの取り込みが始まり、24時間目には中心静脈周囲に至るまで広範囲に広がった。この事より多くの肝細胞は18時間から24時間目にS期に入る事が判明した。G1期を中心にG1サイクリンとCdkの変動を解析し以下の結果を得た。1.サイクリンD1のmRNA量はG1期に著増し、蛋白量もこれに相関して増加した。2.Cdk 4蛋白量はG1期に増加するものの、その程度はサイクリンD1に比較し軽度であった。3.サイクリンD1/Cdk 4複合体量はサイクリンD1の発現量に相関して、G1期に増加した。4.サイクリンD1依存性蛋白リン酸化酵素活性はG1期進行とともに上昇し18時間をピークに以後高値を維持した。次にCDKイシヒビターであるp21CIP1,p27KIP1に着目し蛋白量の変動を測定したところ、p21CIP1はG1期に増加するもp27KIP1はG1期では常に高値を示した。よってG1後期に当たる肝切除後18時間目では、サイクリンD1の活性は最大となるもp21ClP1,p27KIP1は共に高値を示すことが判明した。これらCDKインヒビターとサイクリンD1との複合体形成を調べたととろ低濃度で結合していた。p21CIP1,p27KIP1は低濃度ではサイクリン/CDK複合体の安定化を示す事が報告されている。以上のことより再生肝(特にG1期)では、これらCDKインヒビターはアダプター因子として生理的役割を担っている可能性が示唆された。
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