1999 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生における細胞周期(特にG1期)制御機構の解明
Project/Area Number |
10670500
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
加藤 章 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30204457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 慎一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30185269)
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Keywords | 肝再生 / 細胞周期 / サイクリンD |
Research Abstract |
肝再生は多くの増殖因子の関与によりその開始機構が調節されている。肝再生における細胞周期(特にG1期)制御機構を明らかにする目的で70%部分肝切除によるラット再生肝モデルを用いサイクリンD1を中心にその発現量と活性を測定し、活性に及ぼすCDKインヒビターの影響を検討し以下の結果を得た。1.サイクリンD1mRNA量・蛋白量ともにG1期に著増する。2.Cdk4蛋白量はG1期に増加するものの、その程度はサイクリンD1に比較し軽度である。3.サイクリンD1依存性蛋白リン酸化酵素活性はサイクリンD1の発現量に相関してG1期進行とともに増加する。4.P21^<CIP1>はG1期に増加するもP27^<KIP1>はG1期を通して高値を維持する。5.G1後期ではP21^<CIP1>、P27^<KIP1>とも高値を示すも、これらCDKインヒビターとサイクリンD1は低濃度で結合していた。P21^<CIP1>、P27^<KIP1>はサイクリン/Cdk複合体に低濃度で結合する場合は、インヒビターとして作用せず、むしろ複合体の安定化を示すことが報告されており、再生肝(特にG1期)では、これらCDKインヒビターはアダプター因子として生理的役割を担っている可能性が示唆された。次にThioacetamide投与によるラット肝硬変モデルを作製し、70%肝切除後の再生肝における細胞周期動態を正常肝の再生と比較検討した。1.肝細胞増殖の指標としてPCNA摂取率を測定したところ最高値は正常肝で平均48%を示したが硬変肝では32%にとどまった。2.サイクリンD1の発現量を蛋白レベルで測定したところ、硬変肝ではG1期における増加は著明に抑制されその後の再生過程でも低い発現量を維持した。以上の結果より肝再生、特にG1期の進行にはサイクリンD1の集積が重要であり、硬変肝における肝再生能力の低下はサイクリンD1の発現量が著明に抑制されていることに基づくものと考えられた。
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Research Products
(1 results)