1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化管損傷修復機構における上皮-間葉相関の細胞、分子生物学的制御
Project/Area Number |
10670503
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 純夫 秋田大学, 医学部, 教授 (20138225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大高 道郎 秋田大学, 医学部, 助手 (30250872)
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Keywords | 胃潰瘍 / 損傷修復 / 細胞遊走 / 細胞分裂 / 増殖因子 / サイトカイン / HSP / ヘリコバクターピロリ |
Research Abstract |
消化管障害、修復機構は主に動物モデルを用いて解析されることが多かったが、細胞生物学的、分子生物学的な手技を用いた詳細な検討が求められている。本研究においては既に確立し報告した胃粘膜上皮細胞、間葉系細胞を用いた損傷修復モデルを用いて、胃粘膜損傷後の修復に関わる、上皮-間葉相関の観点から、遊走、増殖、細胞死、分化に着目し各種増殖因子、サイトカイン、HSPなどの役割を詳細に検討し、消化管損傷修復における分子機構を明らかにすることがある程度できた。培養細胞系を用いた解析実験で、胃運動や食物の摂取時にかかる圧を想定し、人工的圧負荷をかけて、損傷修復、細胞分裂、細胞遊走、HSPの発現、細胞骨格系の発現、阻害剤の影響を検討した。人工的圧負荷により、胃粘膜損傷修復は有意に抑制され、細胞遊走、増殖ともに抑制されていた。この損傷修復の遅延は、細胞骨格系の障害、細胞内刺激伝達系の障害、HSP発現の低下などが関与するものと考えられた。さらに、培養細胞で障害的に働くヘリコバクターピロリ菌を用いたモデル実験での結果を、検証するため、実際に臨床の場で、ヘリコバクターピロリ陽性の患者より採取した、胃生検材料において、損傷修復に重要な役割を果たすと考えられているHSPの発現を検討した。それによると、肝性胃粘膜においては、HSP72の発現が有意に落ちていることが明らかになり、ヘリコバクターピロリ菌感染における胃粘膜障害にHSPが関与する可能性を示すことができた。
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[Publications] Jin M, Otaka M, Watanabe S, et al.: "Association of 72-KDa Heat Shock Protein Expression with Adaptation to Aspirin in Rat Gastric Mucosa"Digestive Diseases and Sciences. 44・7. 1401-1407 (1999)
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[Publications] Itatsu T, Miwa H, Watanabe S, Sato N, et al.: "Primary gastric T-cell lymphoma accompanied by HTL V-I, HBV and H pylori infection"Digest Dis Sci. 44・9. 1823-1836 (1999)
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[Publications] Ymamoto J, Watanabe S, Hirose M, Sato N, et al.: "Role of most cell as a trigger of inflammation in Helicobacter pylori infection"J Physiol Pharacol. 50・1. 17-23 (1999)
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[Publications] Osada T, Iijima K, Watanabe S, et al.: "Effect of temperature and mechanical strain on gastric epithelial cell line GSM06 wound restoration in vitro"J Gastroenterol Hepatol. 14・5. 489-494 (1999)