1998 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスNS3領域由来の腫瘍形成能発現タンパク解析による肝発癌機構の解明
Project/Area Number |
10670516
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
蓮村 靖 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (40019956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 細胞癌化 / p53 / 持続感染 / 蛋白-蛋白相互作用 / 遺伝子導入法 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は20.30年におよぶ慢性肝炎(持続感染)の後、肝細胞癌を発生させるとされるが、その機構については全く明らかではない。われわれはこれまでに遺伝子導入による手法でHCVの非構造蛋白NS3のアミノ末端側領域(NS3-N)に細胞形質転換、腫瘍原性活性が存在することを示し、また、この腫瘍原性は腫瘍抑制遺伝子p53の共導入によって失われることを示してきた。これまでの諸事実からHCVによる細胞癌化においてp53を含む宿主蛋白の作用が関わることが推察される。本研究では動物細胞における2-hybridassay法を用いて、両蛋白の細胞における相互作用を明らかにする目的で解析を行った。培養細胞株はCOSおよびHepG2を用い、プラスミドはDNA結合ベクター(pM)、転写活性化ベクター(pVP16)(Clontech)にそれぞれHCV-NS3-N、NS3-Cおよびp53等を挿入したものを作製した。転写リポーター遺伝子としてはCAT(発現ブラスミドpG5CAT)を用いた。CAT発現量はELISA(ベーリンガーマンハイム)によって測定した。HCVのNS3蛋白のアミノ末端側(NS3-N)を発現するpVP-HN3-Nとp53発現のpM53の共導入によって発現ベクターpG5CATによる発現CAT量は対照プラスミドに比べわずかではあるが増加がみられた。その増加はポジティブ対照として用いたSV40のT抗原(pVP16T)によるCAT発現量の10-20%であった。この現象はHepG2細胞においては弱く、COS細胞の場合に顕著に認められた。 以上の結果から、直接的か否かはともかく、動物細胞においてHCV-NS3-Nとp53とは弱いながらも反応する可能性が示された。さらに、それらの反応に他の宿主蛋白の介在を示唆するデータも得ている。HCV-NS3-Nによる細胞癌化にp53関与は示唆されるところであるが、その詳細についてはさらに解析が必要である。
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