1999 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸菌の生体内での増殖の場としてのII型肺胞上皮細胞の意義に関する基礎的研究
Project/Area Number |
10670545
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 勝昌 島根医科大学, 医学部, 助手 (00142331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 利朗 島根医科大学, 医学部, 助手 (60284030)
冨岡 治明 島根医科大学, 医学部, 教授 (40034045)
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Keywords | 抗酸菌 / 結核菌 / Mycobacterium avium complex / II型肺胞上皮細胞 / マクロファージ / A-549細胞 / 侵入 / サイトカイン |
Research Abstract |
前年度と同様に研究の展開の必要上、Mycobacterium avium complex(MAC)についての本研究テーマに結核菌も加えることとした。 1.結核菌あるいはMAC感染マウス肺でのこれら感染菌の局在部位の検討 マウスへの結核菌の経気道感染後の肺組織の電子顕微鏡的観察を行ったところ、結核菌は好中球やマクロファ-ジ(MΦ)のみならずII型肺胞上皮細胞内へも侵入している像が初めて観察された(約10%位)。MACについては現在検討中である。 2.マクロファージとII型肺胞上皮細胞との相互作用の検討 Double Chamber Systemを用いた。Top-chamber内の結核菌感染A-549ヒトII型肺胞上皮細胞株はBottom-chamber内のMono Mac6ヒトMΦ様細胞株内の結核菌生菌数を減少させる傾向にあった。同様なことはMACにおいても認められた。 3.結核菌あるいはMACのII型肺胞上皮細胞への侵入に関わるレセプターの検討 A-549細胞への結核菌やMACの侵入はCR3、CR1、β1インテグリンあるいはマンノースレセプターを介して行われる可能性を示す成績が得られつつあるが、現在さらに検討中である。 4.結核菌あるいはMAC感染II型肺胞上皮細胞のサイトカイン産生 結核菌あるいはMACに感染したA-549細胞は、IL-8およびMCP-1の産生が非感染細胞に比べてやや亢進する傾向を認めたが、この点についてもさらに検討中である。 まとめ 今年度の検討においては、結核菌がII型肺胞上皮細胞へ侵入すること、並びにこの感染細胞がMΦの抗菌活性を増強させる可能性のあることが明らかにされた。このことは、抗産菌感染宿主においてII型肺胞上皮細胞が何らかの免疫調節機能を示して、宿主抵抗性発現に何らかの役割を演じている可能性を示唆するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sano Chiaki: "The modulating effects proinflammatory cytokines interferon-gamma(IFN-γ) and tumour necrosis factor-alpha(TNF-α),and immunoregulating cytokines IL-10 and transforming growth factor-beta(TGF-β), on anti-microbial activity of murine peritoneal macrophages against Mycobacterium avium-intracellulare complex"Clinical and Experimental Immunology. 115. 435-442 (1999)
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[Publications] 佐野千晶: "Secretory leukocyte protease inhibitorによるマクロファージ機能の修飾:LPS刺激およびMycobacterium avium complex刺激マクロファージのサイトカインおよびnitric oxide産生能に及ぼす作用について"結核. 74. 563-570 (1999)
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[Publications] 佐藤勝昌: "マクロファージおよびII型肺胞上皮細胞内の結核菌あるいはMycobacterium avium complexに対する各種薬剤の抗菌効果"結核. 74. 571-577 (1999)
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[Publications] 佐藤勝昌: "細胞上皮細胞およびマクロファージ内での結核菌とMycobacterium avium complexの増殖能について"結核. 74. 655-660 (1999)
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[Publications] 冨岡治明: "マウス腹腔マクロファージの抗Mycobacterium avium complex殺菌能に及ぼすIL-10およびTGF-βの影響について"乳酸菌研究会に関する報告書(平成10年度). 472-476 (1999)
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[Publications] Tomioka Haruaki: "Comparative in vitro antimicrobial activities of the newly synthesized quinolone HSR-903,sitafloxacin (Du6859-a),gatifloxacin(AM-1155),and levofloxacin against Mycobacterium tuberculosis and Mycobacterium avium complex."Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 43. 3001-3004 (1999)