1999 Fiscal Year Annual Research Report
マクロライド系抗生物質による肺癌細胞の浸潤・増殖抑制の作用機序解明の研究
Project/Area Number |
10670558
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
西 裕一 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00275893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 正順 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60265395)
坂田 憲史 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70215630)
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Keywords | マクロライド系抗生物質 / クラリスロマイシン / アジスロマイシン / 肺癌 / 増殖抑制 / 浸潤抑制 |
Research Abstract |
我々は,これまでにマクロライド系抗生物質(clarithromycin(CAM),azithromycin(AZM)が悪性腫瘍細胞(HT-1080,PA-1,SBC-3,A-549)に対し,浸潤抑制効果を示すことを見いだしており,その作用機序解明の1つとして悪性腫瘍細胞表面接着分子CD49cの発現をフローサイトメターで測定し,CAMについてはその発現抑制効果を認めた.しかし,AZMにおいてはCD49c発現に影響を及ぼさず,他の因子を介しての浸潤抑制効果であると推測された. そのため今年時は,AZMの作用機序解明を目的としたin vitroにおける検討を行い,CAMとAZM存在下,及び非存在下の培養細胞破砕液を用い,ゼラチンザイモグラムと抗MMP-9抗体によるELISA法を施行し,AZMのマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制作用を確認した.今後は,血管内皮細胞に対する癌細胞の接着に及ぼすCAM,AZMの影響についてもcell ELISA法を用いて検討していく予定である.また血管内皮側の接着分子(ICAM-1,VCAM-1)発現に及ぼす影響についての検討も行っていく. 更に,AZM存在下で腫瘍細胞を培養すると全ての細胞株でcontrolに比して増殖抑制が有意に見いだされた.その機序としてアポトーシス誘導能の有無を,細胞培養上清をヒストンとDNAに対する特異的抗体を用いELISAで解析したところ,AZM存在下で優位にアポトーシス細胞の増多が認められたが,一方,CAMではその効果は認められなかった.この結果にもとずき,更に他の方法を用いて同効果を検討すると共に,細胞周期への関与についても検討をしていく予定である.
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