1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性呼吸不全患者の筋肉のエネルギー代謝に及ぼす酸素吸入の効果
Project/Area Number |
10670561
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沓澤 智子 東海大学, 健康科学部, 助教授 (10183310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灰田 宗孝 東海大学, 医学部, 講師 (20208408)
塩谷 寿美恵 東海大学, 医学部, 助教授 (20102840)
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Keywords | 呼吸不全 / 運動負荷 / エネルギー代謝 / ^<31>P-MRS / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
慢性肺疾患患者の運動中のエネルギー代謝は、健常人に比べ、運動中のクレアチン燐酸(PCr)の著しい低下と筋肉のpHの低下が特徴的で、嫌気的解糖への移行早い。本研究では、この代謝と酸素の関係を明らかにするため、^<31>P-核磁気共鳴スペクトロスコピー(^<31>P-MRS)によってPCrやATPなどの高エネルギー燐酸化合物の変化をとらえるとともに、近赤外分光法(near infrared spectroscopy,NIRS)を用いて、筋肉の酸素化ヘモグロビン(Hb)/ミオグロビン(Mb)、脱酸素化Hb/Mb、総Hb/Mbの相対的変化を同時に測定し、運動中止後のPCrや脱酸素化Hb/Mbの動態、筋肉の酸素抽出の変化を評価した。対象は在宅酸素量法施行中の慢性呼吸不全患者4名(46歳〜84歳、平均65歳)。運動負荷はrepetitive handgripで1分間に最大握力の7%の重りを5cm持ち上げる運動を3分施行した。この運動負荷を室内気吸入と酸素吸入下で施行した。15秒毎の^<31>P-MRスペクトルからPCr/(PCr+Pi)とpHを計算した。NIRSでは各波長の反射光より、酸素化Hb/Mb、脱酸素化Hb/Mb、総Hb/Mbの変化量を計算した。脱酸素化Hb/Mbの変化量(運動終了直前の安静時の差)を総Hb/Mbの変化量(運動終了直前と安静時との差)で割ったものを筋肉の酸素抽出率の指標とした。運動終了後のPCrの回復をmonoexponentioal curveでfittingし、time constant(PCrTC)を計算した。酸素化Hb/Mbの回復速度(o-Hb0.5)は変化量の50%に回復する時間で評価した。4名の患者において、PCr/(PCr+Pi)は酸素吸入と室内気吸入において変化せず、酸素吸入によってエネルギー代謝は改善を示さなかった。酸素抽出は2名で計算可能であったが、酸素吸入による一定の効果は得られなかった。PCrTCやo-Hb0.5も酸素吸入によって減少しなかった。結論を導くには、まだ検討例が少ないため、今後も症例を増やしていきたい。
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Research Products
(1 results)