1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670568
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
本間 栄 冲中記念成人病研究所, 研究員 (20190275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 紘一郎 冲中記念成人病研究所, 研究員
田中 さゆり 冲中記念成人病研究所, 研究員
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Keywords | MPO-ANCA / 肺病変 / 間質性肺炎 / 肺出血 / 細気管支炎 / 血管炎 |
Research Abstract |
[目的]MPO-ANCA陽性の肺病変にはびまん性間質性肺炎とびまん性肺胞出血を主体とする2つの群があることが報告され、その中には臨床的にも病理形態学的にも特発性間質性肺炎、膠原病に伴う間質性肺炎と鑑別の困難な例、及び予後不良群の存在が注巨されている。しかし、その発症、経過、病理形態像、治療法は殆ど不明である。そこでMPO-ANCA陽性肺疾患の実態を自験例につき臨床病理学的に明らかにすることを試みた。 [対象と方法]過去5年間に当院を受診したMPO-ANCA陽性患者92例中、肺病変を有する22例|男性11例、女性11例、平均年令67.3才、MPO-ANCA平均144.8EU (10〜840EU)|を対象とし 臨床、画像、病理形態学所見を比較検討した。 [結果と考察]肺病変は間質性肺炎(IP)17例(77%)、細気管支炎4例(18%)、肺出血3例(14%)であった。間質性肺炎17例の基礎疾患は多彩でMicroscopic polyangiitis(MPA)が6例、シェーグレン症候群(SjS)が3例、慢性関節リウマチ(RA),皮膚筋炎(PM),強皮症/慢性関節リウマチ(PSS/RA),混合性結合組織病(MCTD),アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)がそれぞれ1例ずつ、不明が3例で9例に腎病変の合併が認められた。面像は殆どの例で下肺野、肺外層優位で広義の間質の肥厚を伴っていた。予後は6例が死亡し、死因は間質性肺炎の増悪が3例、間質性肺炎の増悪+肺出血が2例、転移性肺癌が1例であった。尚、間質性肺炎の増悪とMPO-ANCA値の相関は明らかでなかった。間質性肺炎6例の病理組織像は胞隔炎、広義の間質の線維化が全例、肺胞腔内器質化が5例、肺出血が2例、肺細動脈あるいは毛細血管の血管炎が3例に認められた。以上よりMPO-ANCA陽性の肺病変は多彩であり、特に間質性肺炎症例では予後不良詳の存在に注意を要することが示唆された。
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