2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10670568
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
本間 栄 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (20190275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 紘一郎 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
田中 さゆり (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
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Keywords | MPO-ANCA / 肺線維症 / 血管炎 / 病理組織学 / 治療 / 予後 |
Research Abstract |
[目的]MPO-ANCA陽性の肺線維症についてその実態を自験例につき臨床病理学的に明らかにすることを試みた。 [対象と方法]過去7年間に当院を受診したMPO-ANCA陽性患者で肺病変を有する43例|男性21例、女性22例、平均年令65才、MPO-ANCA平均141.7EU(10〜840EU)}を対象とし臨床所見、画像所見、病理形態学所見、治療反応性、予後を比較検討した。 [結果と考察]肺病変は肺線維症(PF)31例(72%)、細気管支炎6例(14%)、肺出血5例(11.6%)、気管支喘息1例(2.3%)であった。PF31例の基礎疾患は多彩でMicroscopic polyangiitisが8例、シェーグレン症候群が4例、強皮症が3例、慢性関節リウマチが2例、皮膚筋炎、強皮症/慢性関節リウマチ、混合性結合組織病、サルコイドージス、再発性多発軟骨炎がそれぞれ1例ずつ、原因不明が9例で14例に腎炎の合併が認められた。臨床所見はPF31例全例に乾性咳漱、ベルクロラ音がみとめられた。画像は26例に蜂窩肺を伴っていた。PF15例の病理組織像は胞隔炎が全例、小葉間間質などの広義の間質の線維化が13例、蜂窩肺が12例に認められ、5例に気管支動脈あるいは肺細動脈の血管炎を伴っていた。25例が治療され反応性は改善が9例、変化なしが11例、悪化が5例であった。予後は13例が死亡し、死因はPFの急性増悪が5例で2例は肺出血を伴っていた。その他肺癌の合併が2例、細菌性肺炎が4例、消化管出血が2例であった。尚、PFの活動性および肺血管炎合併の有無とMPO-ANCA値の相関は統計学的には明らかでなかった。5年生存率は50%と不良で特発性肺線維症と鑑別困難な症例も多く、PF症例におけるMPO-ANCA陽性所見は予後不良因子であることに注意を要する。
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