1998 Fiscal Year Annual Research Report
トソプレット病発症機構解明のモデル細胞開発とその解析ージョセフ病をモデルとして
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10670572
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉沢 利弘 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50212311)
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Keywords | トソプレット病 / マシャド・ジョセフ病 / ポリグルタシ鎖 / 細胞死 / 凝集体 |
Research Abstract |
[目的] 今年度は非神経細胞である培養BH鴫細胞にMJD原因遺伝子産物であるataxin-3由来の一連の組み替えタンパクを一過性に発現させ細胞死を来すような系を確立し、組み替えタンパクの長さと細胞内における凝集体形成性および細胞死の関連を追求することを目的に実験を行った。[方法]CAGリピート数が10回(Q10)のヒト正常MJD遺伝子と77回に増大した(Q77)異常MJD遺伝子に由来しC末側にmycタグをつけた組換えタンパクをCMVプロモーター下に発現するプラスミドを構築した。さらに組換えタンパクのN末側からアミノ酸配列を順次切り詰めた種々の長さのMJD遺伝子産物を発現する複数のプラスミドを作製した。これらのプラスミドを塩化カルシウム法を用いてBHK細胞に導入し一過性に発現させる系を確立した。組み替えタンパクの発現は抗myc抗体を用いた間接蛍光抗体法で観察し、同時に核DNAを日oechst dyeにて染色して核濃縮や断片化を細胞死の指標として検討した。[結果]通常の培養条件下では、全長の正常(Q10)並びに異常(Q77)ataxin-3の約70-80%は核に集積した。リピート数10回の全長並びに短縮型ataxin-3の発現系では凝集体形成、細胞死とも明らかなものはなかったが、リピート数77回のataxin-3ではN末側の欠損部分の大きさに比例して細胞内凝集体の形成頻度が増加した。Q77を有しN末側から286個のアミノ酸を欠損するataxin-3fragmentの発現では有意に高い頻度(約15%)の細胞死が観察されたが、N末側から268個のアミノ酸を欠損するfragmentの発現では有意の細胞死は観察されず、細胞内凝集体形成性と細胞死の誘導性の間に解離が認められた。さらに今回の系で観察された細胞死は低血清培養条件下で増強された。[結論・考察]今回の結果からQ77を有するataxin-3の短縮型タンパクの発現では、凝集体形成と細胞死の間に解離が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 白岩伸子 ほか: "Balo病様のMRI所見を臨床経過と比較し得た急性白質脳症の2例" 神経内科. 49. 59-66 (1998)
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[Publications] Yoshizawa T et al.: "L-threo-3,4-dihydroxyphenylsemine enhances the orthostatic responses of plasma renin activity and angiotersinll in multipk system atreply" J.of Neurology. (in press).