1999 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κBの二面性の機序に関する研究-iNOS誘導調節機構をモデルに-
Project/Area Number |
10670580
|
Research Institution | FUKUI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤山 二郎 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40283171)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 勝 福井医科大学, 医学部, 教授 (80107870)
武藤 多津郎 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60190857)
|
Keywords | 一酸化窒素(NO) / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / アストログリア / トロンビン / スフィンゴシン / NFkB |
Research Abstract |
アルツハイマー病等の神経疾患においてNFkBを介しての誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)活性化の重要性が指摘されているが、NFkBには多彩な作用が知られており、その作用の二面性を明らかにすることが必要と考えている。その1例として、アルツハイマー病脳にて増量しているトロンビンによるiNOS誘導への影響を検討している。そこで、本年度は、アミロイド蛋白によるトロンビンのmRNAの転写促進の有無について検討した。ラットアストロサイトを用いた検討では、アミロイド蛋白を溶解直後、または、37度で1週間インキュベート後に添加したが、トロンビンmRNA発現に有意な差を認めないことを明らかにした(第40回神経学会総会,1999)。次に、NF-κB活性化によるiNOSの誘導調節機構を明らかにするため、スフィンゴシンやTNF-αによるNF-κBの活性化とトロンビンによるNF-κBの活性化の動態を比較した。NF-κBのオリゴマーをプローブにしてゲルシフトアッセイを試みた結果、TNF-αまたはTNF-α+IF-γにては著明な活性化を認めたが、IF-γ、トロンビン単独または両者の組み合わせでは軽度の活性化にとどまった。次にNF-κBのサブタイプによる誘導機序を想定して、スーパーゲルシフトアッセイを施行したが、どの条件でもラットアストロサイトにおいては、P65とP50のヘテロダイマーであった。以上のことより、iNOSの誘導においてはNF-κBの活性化は必要条件であり、必ずしも十分条件ではないことが明らかにされた。昨年iNOS誘導機序にスフィンゴシンが関与することを報告したが、スフィンゴシンはPKCの阻害剤であり、NF-κBの活性化の後に更にPKCなどを介してのiNOSの誘導を最終的に修飾する機序が考えられた。従って、NF-κBの2面性とは、その後修飾機序によって制御されうるものと考えられた。
|