1998 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナ-ゼ系による神経細胞死の分子機序の究明・特異酵素・基質の精製を通じて
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10670584
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 講師 (20192346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 敬介 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
大槻 俊輔 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学部, 助手 (70301257)
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Keywords | 脳虚血 / チロシンキナ-ゼ |
Research Abstract |
我々は海馬神経細胞において脳虚血/再灌流および虚血超急性期に発生するグルタミン酸の受容体間隙への過放出による受容体過興奮が、チロシンキナ-ゼの活性化とその基質蛋白質のチロシン残基リン酸化誘導へと情報伝達され、細胞死に至ることを、成熟生体の脳で初めて発見した。一般に蛋白質のチロシン残基リン酸化は、細胞増殖や分化、外界環境変化に対する耐性や細胞生存に強く関与するシグナル伝達系であるが、免疫細胞でのみ病的条件下でのアポト-シスに蛋白質チロシンリン酸化が関与している。それゆえ、我々が観察した虚血後活性化されるチロシンキナ-ゼ群、および少なくとも5個の虚血後冗進するチロシン残基リン酸化蛋白質(分子量160-,115-,105-,92-,85-kDa)すべてが細胞死を誘導するとは考えにくく、細胞生存5の応答現象の誘導に関与する蛋白質も混在していると考えられる。そこで、各チロシンキナ-ゼ、チロシン残基リン酸化蛋白質の機能を解析するために、各蛋白質の単離精製と同定を試みている。 我々は再現性良く海馬選択的に神経細胞死を発生するラット一過性前脳虚血モデルおよびカイニン酸誘導性てんかんモデルを用いた。侵襲負荷4から8時間後海馬を摘出し、ショ糖密度勾配超遠心法にて細胞膜を分離、界面活性剤で細胞膜結合蛋白質を可溶化した。レクチンカラム及び抗リン酸化チロシン抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィ-によりチロシンリン酸化蛋白を濃縮精製し、イオン交換クロマトグラフィ-にて分子量および等電点別に各蛋白質を分離した。各分画にはテロシンキナ-ゼや共沈される基質蛋白質が単離されているが、抗リン酸化チロシン抗体を用いた免疫ブロット法でスクリ-ニングをかけている。
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