1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670588
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 猛 九州大学, 医学部, 助教授 (50230462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷脇 考恭 九州大学, 医学部, 助手 (80284496)
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Keywords | 副腎白質ジストロフィー / ノックアウトマウス / ミクログリア / 神経幹細胞 / 脳移植 |
Research Abstract |
伴性劣性遺伝型副腎白質ジストロフィー(ALD)は、中枢・末梢神経の脱髄による神経症状と副腎不全を呈する疾患である。病因遺伝子産物のALD蛋白(ALDP)を欠損したマウスを用いて、ALDの分子病態の解明及び治療法の開発を目指して研究を行った。 新生マウス脳から得たミクログリアは、ALDP欠損マウスと正常対照とも、IFN-γとLPSの同時投与により活性化された。NO_2産生量はALDP欠損マウスで増加傾向がみられたが、対照マウスとの有意差は得られなかった。TNF-α産生量も有意差はみられなかった。腹腔内マクロファージについても、ALDP欠損マウスと対照マウスで差はみられなかった。 マクロファージについてVLCFAの代謝を検討した。VLCFAの組成はC24/C22、C25/C22、C26/C22の比ともALDP欠損マウスで若干の増加がみられたが、組織中の蓄積に比較して軽度であった。また、ALDP欠損マクロファージのリグノセリン酸β酸化活性の低下も軽度であった。 オリゴデンドログリアを傷害して脱髄を惹起するcuprizone(0.5%)を生後3週のマウスに3週間経口投与した。正常対照マウスの小脳白質に強い海綿状変化がみられた。同部位は間染色で淡明となり脱髄病変と考えられた。この変化はALDP欠損マウスでも同様にみられ、両マウスで明らかな差異はみられなかった。 マウスの神経幹細胞様細胞であるC17細胞に、レトロウイルスベクターを用いてALDPを発現させ、新生マウスの脳室内に2-3×10^4個投与した。1-3週間後に脳を摘出し、X-gal染色によりC17細胞の分布を調べ、VLCFAの組成を分析した。C17細胞はALDPの発現がみられなかったので、レトロウイルスベクターによりALDPを発現させた。脳室内投与2-3週間後の脳をX-gal染色すると、脳実質内に染色がみられ、細胞が実質内に移動し生着していることが確認された。ただし土着細胞数には個体差が大きかった。現在、VLCFAを分析中である。
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