1998 Fiscal Year Annual Research Report
後天性炎症脱髄性ニューロパチーにおける抗ガングリオシド抗体の生理活性の研究
Project/Area Number |
10670595
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
樋口 逸郎 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (80183573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90195438)
梅原 藤雄 鹿児島大学, 医学部, 講師 (20271140)
亀山 正樹 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
有村 公良 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20159510)
|
Keywords | 抗ガングリオシド抗体 / 電位依存性ナトリウムチャネル / 電位依存性カリウムチャネル / バッチクランプ法 |
Research Abstract |
今年度は以下の研究目的に対し検討を行った. 1. 電位依存性Na^+チャネルを障害し,伝導ブロックを生じさせるか? 神経芽細胞腫の細胞株(NB-1)を用い,抗ガングリオシド抗体がNa^+チャネルへ抑制作用を持っている否かについて検討した.対象はGM1抗体あるいは抗GalNAc-GD1a抗体を有するGuillain Barre症候群(GBS)2例,GQ1b抗体陽性のFisher症候群1例,GM1抗体陽性のIgMparaproteinemiaを伴ったneuropathy 1例の計4例,及びコントロール2例で検討した.血清よりγグロブリン分画を抽出し実験に用いた.慢性効果の検討としてγグロブリン5μg/mlの濃度で培地に加え3日間培養しイオン電流を測定した.急性効果の検討は、通常の方法で培養したNB-1にイオン電流記録の際,GBS2症例のγグロブリンを補体と共に灌流し、その影響を検討した。 結果:慢性効果の検討では各症例共,静止膜電位,膜容量にはコントロールと差を認めず,またNa^+電流にも差は認められなかった。急性効果の実験では灌流開始後60分を経てもNa^+電流には明らかな差は認めらなかった. 2. 電位依存性K^+チャネルを障害し,脱分極性の伝導ブロックを生じさせるか? Na^+チャネル同様の検討でK^+電流についても検討した. 結果:慢性効果の検討ではK^+電流はわずかながら統計学的に有意な差が認められた。急性効果の実験では明らかな変化は認めなかった. 我々の実験系では単一細胞を用いており,脱髄の影響は全く受けず,純粋にチャネルへ対する影響を観察できると考えられる.少なくとも今回の結果ではNa^+電流には全く影響を与えず抗ガングリオシド抗体のNa^+チャネルへの直接の影響は否定的である.また今軽度K電流が抑制された事に関しては,我々が過去報告してきたGBSの病初期に出現する抗カリウムチャネル抗体の関与するものか,或いは抗ガングリオシド抗体によるものかは明らかではない.今後更に検討の必要があると考えられる.
|
-
[Publications] 有村公良: "イオンチャネルと末梢神経障害" 脳と神経. 49. 1115-1122 (1997)
-
[Publications] 園田至人: "末梢神経チャネル異常の病態と検査法" 最新医学. 53. 1651-1656 (1998)
-
[Publications] 園田至人: "Isaacs症候群とカリウムチャネル抗体" Clinical Neuroscience. 16. 260-261 (1998)
-
[Publications] 長堂竜継: "筋痙攣とK^+チャネル" 臨床脳波. 40. 753-758 (1998)