1998 Fiscal Year Annual Research Report
3型アデノ随伴ウイルスを用いた新しい遺伝子導入ベクターの開発
Project/Area Number |
10670598
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村松 慎一 自治医科大学, 医学部, 助手 (10239543)
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Keywords | アデノ随伴ウイルス(AAV) / 遺伝子治療 / ウイルスベクター |
Research Abstract |
神経疾患の遺伝子治療の実用化に先立ち神経細胞へ遺伝子導入が可能な優れたベクターの開発が必要となる。アデノ随伴ウイルス(AAV)は病原性がないことや非分裂細胞にも感染可能なことなど優れた特徴を持つ。霊長類では少なくとも6つの血清型が知られているが、現在までベクターとして利用されているのは基礎研究の進んでいる2型AAV(AAV2)にほぼ限られている。本研究では先に我々がクローニングに成功した3型AAV(AAV3)を用いてAAV2ベクターと異なる新しい遺伝子導入用のベクターを作成することを目的とする。 平成10年度はレポーター遺伝子を含む組換えAAV-3(rAAV-3)ベクターの作成を行った。方法としてはAAV-3の完全なゲノムを含む感染性クローン(pAAV3)を用いた。ウイルスの両側にあり複製に重要なITR部分と、ウイルス蛋白質のコード領域との間を適切な制限酵素により分離し、蛋白質のコード領域は別のプラスミドのプロモーター下流に組み込んだ。 一方、残ったpAAV3の両側のITR間にはCMVなとのプロモーターとLacZあるいはGFPなどのレポーターを組み込んだ。これらのプラスミドとアデノウイルスの一部構造を含むヘルパープラスミドを293-31細胞にトランスフェクションしrAAV-3を生成した。超遠心により精製したrAAV-3を293-31をはじめとした種々の細胞に感染させレポーター遺伝子の発現を確認した。AAV2についても同様な方法でレポーター遺伝子を発現するrAAV-2を作成し、現在種々の細胞につき比較検討を行っている。今後は特に神経細胞における遺伝子導入効率につき検討し、in vivoでの動態についても研究を進める予定である。
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