1999 Fiscal Year Annual Research Report
3型アデノ随伴ウイルスを用いた新しい遺伝子導入用ベクターの開発(神経・筋疾患の遺伝子治療の基盤研究)
Project/Area Number |
10670598
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
村松 慎一 自治医科大学, 医学部, 助手 (10239543)
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Keywords | アデノ随伴ウイルス(AAV) / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / パーキンソン病 / ドーパミン |
Research Abstract |
神経疾患の遺伝子治療の実用化のためには優れた遺伝子導入ベクターの開発が必要となる。アデノ随伴ウイルス(AAV)は病原性がなく非分裂細胞にも感染が可能でありベクターとして有力である。霊長類では少なくとも5型の血清型が知られているが、現在までベクターとして利用されているのは基礎研究の進んでいる2型AAV(AAV-2)にほぼ限られている。本研究では先に我々がクローニングに成功した3型AAV(AAV-3)を用いてAAV-2ベクターと異なる新しい遺伝子導入用のベクターを作成することを目的とした。初めにレポータ遺伝子を含む組換えAAV-3(rAAV-3)ベクターの作成を行った。AAV-3の完全なゲノムを含む感染性クローン(pAAV3)を用いて、ウイルスの両側にあるITR部分とウイルス蛋白質のコード領域とを分離し、ITR間にGFP遺伝子を組み込んだ。プラスミドを293-31細胞にトランスフェクションし、rAAV-3を生成した。このことによりAAV-2と同様な方法により高力値のAAV-3ベクターが作製できることが明らかになった。同様にGFPを発現するrAAV-2を作成し、種々の細胞につきrAAV-3と比較検討した。その結果、erythro-megakaryoblast系の血液細胞ではrAAV-3の方がrAAV-2よりも感染しやすいことが明らかになった(投稿中)。また、NT2細胞の分化過程においてrAAV-3により遺伝子導入が可能なことを示した。in vivoにおいてはパーキンソン病モデルラットの線条体にドーパミン代謝に関連した遺伝子を組み込んだrAAV-2を注入し、7か月以上にわたる遺伝子の発現を確認した(投稿中)。さらに、MPTPによるパーキンソン病モデルマウスにおけるin vivoでの動態についても研究を進めた(投稿準備中)。
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