1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経免疫疾患における新規内在性レトロウイルスの検出とその病因的意義に関する研究
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10670605
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
橋本 しをり 東京女子医科大学, 医学部・神経内科, 助手 (60180824)
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Keywords | MSRV |
Research Abstract |
最近、Perronらにより多発性硬化症(MS:multiple sclerosis)から斬規・内在性レトロウイルス(MSRV:multiple sclerosis retrovirus)が同定された。本研究で私は日本人MS患者におけるMSRVの関与に関して研究を進めている。MS患者および健常人の血漿よりRNAを抽出しDNasel処理した後、特異プライマーにより作成したcDNA、及び好中球より抽出したDNAを鋳型としてnested-PCR法によりMSRVのpol領域の増幅を試みた。その結果、好中球のDNAを鋳型とした場合には全ての検体からMSRVのpol領域が増幅された。これはPCR産物をアガロースゲルからサザンブロットし、特異プローブで検出することにより真のウイルスゲノムであることを確認している。今までのところ、日本人MS患者の血漿RNAからはMSRVのpol領域は検出されていないが、実験系の感度をさらに上げるとともに、未治療例や再燃例を中心に、解析を進める必要があると考えている。これと並行して、MSRVの多型性に関して、好中球より抽出したDNAを鋳型としてPCR法により得られたMSRV-PCR産物の塩基配列を決定し、そのポリモルフィズムの解析を並行して行っており、来年度さらに症例数を増やして検討することにより、健常人とMS患者で、MSRVゲノムのポリモルフィズム分布に、患者と健常人とで有意な差異が存在するか否かについて明らかにする必要があると考えられる。
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