1998 Fiscal Year Annual Research Report
MPTPによるドーパミンニューロン細胞死の機序に関する研究;最初期遺伝子の役割
Project/Area Number |
10670615
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
西 克典 東京都神経科学総合研究所, 神経学研究部門, 副参事研究員 (00138257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 英人 順天堂大学, 医学部, 講師 (50231626)
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Keywords | MPTP / ドーパミンニューロン / パーキンソン病 / c-jun / 培養 |
Research Abstract |
・長期初代培養の確立;先ず長期間細胞が生存できるように、条件を整えた。胎生16日と14日のウィスターラットの胎児からそれぞれ線条体と腹側中脳を取り出し、分散した後、9:1の比で、予めポリエチレンイミンでコートしてフロロカーボンプラスチックを敷いた培養皿に撒いた。細胞密度は2.4x10^5/cm^2とした。この中脳と線条体細胞の同時培養は、中脳単独の培養よりも神経突起の発達が格段に良く、またドーパミンニューロンの密度を自由に調節できるという利点がある。培地は最初の日は牛胎児血清を含み、2日目からSF21による無血清培地とした。ドーパミンニューロンは培養を開始後20〜30日間、細胞体と終末の発達が認められ、60日間培養が可能であった。この培養系はきわめて長期間安定であるばかりか、形態的にも大型の成熟したニューロンを維持することが可能で、インビトロの培養系として種々の研究目的に適うと考えられる。 ・ドーパミンニューロン終末の再生;培養を開始して1週間後にMPP^+を10μM投与し、24h後に洗い、その後35日間、形態的変化を調べた。 MPP^+投与後のドーパミンニューロン数は40%以下に減少し、残存ニューロンの終末も高度に変性脱落したが、14日後から残存ドーパミンニューロンの終末の延長がみられ、20〜30日後には一層著明になった。この結果、ドーパミンニューロンの残存終末は強い再生能を有することがわかった。 ・C-jun アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)投与の効果;C-jun AONを種々の濃度で、単独であるいはペネトラチンとカップルしたものを培養細胞に投与して、MPP^+投与後のドーパミンニューロン数の減少を抑制する効果を検討したが、低濃度ではやや残存ニューロンが多くなる傾向があるが、統計的な有為差は得られなかった。また、濃度をあげるとAON自体が細胞にとって毒性が生ずるようで、この点は今後改良の余地がある。
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