1998 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性線維芽細胞増殖因子吸着酸性ハイドロゲル粒子の冠側副血行循環発達促進効果
Project/Area Number |
10670624
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
花田 裕之 弘前大学, 医学部, 助手 (20250615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 謙 弘前大学, 医学部, 教授 (20185549)
|
Keywords | 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 冠側副血行循環 / 酸性ハイドロゲル粒子 |
Research Abstract |
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)は血管新生促進作用が明らかとなっているが、生体内での失活が速く、直接投与の効果が限られている。一方bFGFの酸性ハイドロゲル粒子吸着化により徐放性が得られることが報告された。この徐放化bFGFの冠側副血行循環発達促進効果を慢性犬を用いて冠動脈造影所見・左室造影から検討した。雑種成犬10頭を麻酔後無菌的に開胸し、冠動脈左前下行枝の主要分枝である第1対角枝を結紮。手術2週間後に冠動脈造影と、左室造影を施行した。その直後に再開胸し,第1対角枝結紮部周囲と対照として回旋枝周囲に、5頭では徐放性bFGF100μgを、残りの5頭ではbFGF100μgの水溶液を直接心内膜下に植え込んだ。更に2週間後に同様に冠動脈造影と左室造影を行い、bFGF投与前後でその所見を比較検討した。徐放性bFGFを投与した5頭では順行性側副血行循環の程度を示すTIMIGradeは、0.7±0.2から2.3±0.2へ有意に増加した(p<0.05)が、bFGF水溶液を注入した5頭ではTIMI Gradeの改善は認められなかった。心筋血流量の指標となるVideodensitometryを用いて解析した心筋輝度(score)は、徐放性bFGF投与群では側副血行依存領域で454±110から581±85へ有意に増加した(p<0.05)のに対し、水溶性bFGF投与群では有意な増加は観察されなかった。対照域の心筋輝度は両群ともに有意な増加は認められなかった。徐放性bFGF投与群における左心室造影は、bFGF投与後に壁運動の改善を認めたが、bFGF水溶液投与群では明らかな改善を示さなかった。bFGF吸着酸性ハイドロゲル粒子による組織障害は全く認められなかった。徐放性bFGFは冠側副血行循環発達促進効果があることが推察された。
|