1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心筋炎における浸潤T細胞のT細胞受容体CDR3領域の検討
Project/Area Number |
10670636
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小玉 誠 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (10242447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 達雄 新潟大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00272849)
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Keywords | 急性心筋炎 / 予後規定因子 / sFas / sFasL / IL-10 / 心サルコイド-シス / CAR / carvedilol |
Research Abstract |
(1)、組織学的に診断が確定した急性心筋炎症例について予後規定因子を検討した。入院時から血行動態が破綻している症例は予後が不良であった。入院時の指標では、CPKなど心筋逸脱酵素や血中TNFα値は予後を反映せず、血中可溶性Fasと可溶性Fasリガンドが鋭敏に予後を反映した。 (2)、巨細胞性心筋炎と臨床的によく類似する疾患に心サルコイド-シスがある。心サルコイド-シスの治療効果判定や長期管理における疾患の活動性評価は難しい。劇症型心筋炎、巨細胞性心筋炎で血中IL-10が高値を示す(昨年の本補助金による調査)ことから、心サルコイド-シス症例における血中IL-10値を検討した。その結果、心サルコイド-シスでは活動期に血中IL-10が高値を呈し、ステロイド治療後の非活動期には低下することが示された。 (3)、ラット実験的自己免疫性心筋炎を用いて、近年発見されたコクサッキーウイルス・アデノウイルス受容体CARの心筋細胞における発現を検討した。成体ラットの心筋細胞にはCARの発現はみられず、心筋炎による心筋障害に引き続いて心筋細胞にCARが発現した。また、mitogen 刺激を加えたリンパ球培養液の添加により培養心筋細胞にCARが誘導された。この結果から、炎症反応を伴う心筋細胞障害が先行することによって、ウイルス性心筋炎に対する感受性が増すことが考えられる。 (4)、実験的自己免疫性心筋炎の急性期以後に生じる心室リモデリング、慢性心不全に対するβ遮断薬(carvedilol)の効果を検討した。Carvedilol 2 mg/kg/dayを2ヶ月間経口投与することによって心重量が抑制され、心拍数、左室拡張末期圧が低値を示した。また、治療群では心筋における心房性利尿ホルモンANPのmRNA発現が抑制された。心筋炎後慢性心不全に対してcarvedilolは有効である。
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[Publications] Watanabe K,Kodama M: "Effects of long -term treatment with carvedilol in rats with dilated cardiomyopathy after myocarditis"Journal of Cardiovascular Pharmacology. 34(suppl 4). S77-S80 (1999)
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[Publications] 小玉 誠: "実験的自己免疫性心筋炎の病態"心筋の構造と代謝. 21(1998). 81-87 (1999)
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[Publications] 小玉 誠: "劇症型心筋炎に対するステロイド療法"ICUとCCU. 23. 583-587 (1999)
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[Publications] 小川 理、小玉 誠: "劇症型心筋炎に対して経皮的心肺補助を施行した一例"新潟医学会雑誌. 112. 789-801 (1999)
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[Publications] 大倉 裕二、小玉 誠: "自己免疫性心筋障害とサイトカイン"循環器科. 44. 522-531 (1998)
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[Publications] 塙 晴雄、小玉 誠: "繰り返す自己免疫心筋炎"呼吸と循環. 46. 463-468 (1998)