1998 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症の冠予備能低下と心筋内小動脈平滑筋形質変換に関する研究
Project/Area Number |
10670661
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 崇史 山口大学, 医学部, 助教授 (60228947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅本 誠治 山口大学, 医学部, 助手 (90263772)
|
Keywords | 肥大型心筋症 / 冠予備能 / 平滑筋形質変換 / 冠動脈血流速度 / ミオシン重鎖 |
Research Abstract |
1. 肥大型心筋症の冠血流波形の特徴 肥大型心筋症患者11例と対照群8例(主に心臓神経症患者)の心臓カテーテル検査中にドプラ・フローワイヤー(Cardiometrics社)を左冠動脈前下行枝近位部に留置し,安静時の冠血流速度を測定し,その特徴を解析した。 肥大型心筋症患者では全例で収縮期冠血流波形は逆流波を呈していた。 一方,拡張期冠血流波形は順行波であるが,拡張早期冠血流増加速度は対照群に比し明らかに低下していた. 2. 肥大型心筋症の冠予備能の測定 ドプラ・フローワイヤーを左冠動脈前下行枝に留置し,安静時冠血流速度を記録した後,パパベリン 10mgを冠動脈内注入し,それに伴う冠血流増加率より冠予備能を求めた。 対照群の冠予備能が2.9±0.5であったのに対し.肥大型心筋症群では1.8±0.4と有意に低下しており,肥大型心筋症では冠予備能が明らかに低下していることが示された。 3. 肥大型心筋症の高頻度ペーシング時の冠血流増加反応 肥大型心筋症の運動時心筋虚血の成因として考えられている頻拍とそれに伴う収縮力増加が冠血流に及ぼす影響を検討した.心房ペーシングで心拍数を90,110,130/分と増加させたところ,肥大型心筋症の平均冠血流増加率は90/分でピークに達し,それ以上の心拍数では明らかに減少した。 4. 今後の展開 現在,肥大型心筋症の左室生検組織より得られた心筋内小動脈の壁性状や血管周囲線維率,血管内膜中膜肥厚度を求め,冠予備能や心筋内小動脈の内皮機能との関係を検討している。今のところ,血管内膜中膜肥厚度と冠予備能の間には負の相関みられ,小動脈の内膜中膜の肥厚度が強いほど,冠予備能は低下している。平成11年度は肥大型心筋症11例の凍結切片を免疫染色し,内膜中膜に存在する平滑筋の形質変換の有無を調べ,これらが冠予備能や内皮依存性血管拡張反応にどのような影響を与えているかを検討する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Atsushi Kawamura: "Abnormal Coronary Flow Profile at Rest and During Rapid Atrial Pacing in Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy" Japanese Circulation Journal. Vo163,No5(印刷中). (1999)
-
[Publications] 藤井崇史: "心臓病プラクティス(発表予定)" 編著:別府慎太郎,株式会社文光堂, (1999)