1999 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアでの活性酸素産生亢進による心血管系病変の発症に関する研究(グルココルチコイド過剰症における検討)
Project/Area Number |
10670663
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (90271080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 保実 徳島大学, 医学部, 講師 (10235773)
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Keywords | ミトコンドリア / 電子伝達系 / 活性酸素 / グルココルチコイド / 血管内皮細胞 / 高血圧症 / 動脈硬化症 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Cell systems)を用いてdexamethasone(DEX)による活性酸素産生を蛍光プローブCM-H_2DCFDAにより測定し,各種の活性酸素産生系の阻害薬の添加による影響を検討した.ミトコンドリア電子伝達系を抑制するcarbonyl cyanide m-chlorophenylhyazone(CCCP),xanthine oxidase系を抑制するoxypurinol,NADPHオキシダーゼ系を抑制するquinacrineの添加では,DEXによる活性酸素産生亢進が有意に低下し,特にCCCPによる抑制が最も顕著であった.一方,prostaglandine生成系を抑制するindomethacine,NO合成系を阻害するL-NAMEの添加では活性酸素産生には変化がなかった.さらに,ミトコンドリア電子伝達系の複合体Iを阻害するdiphenyleneiodinium chlorideおよび複合体IIを阻害するthenoyltrifluoroacetoneはDEXによる活性酸素産生亢進を有意に抑制したが,複合体IIIを阻害するmyxothiazolでは変化がなかった.次に,HUVECを用いてウエスタンブロットによる検討を行ったところ,DEX添加により活性酸素がNOを消去する際に生成されるperoxynitrateの指標である3-nitrotyrosineの増加が確認された.ヒト大動脈血管平滑筋細胞(クラボウ)を用いた同様の検討では活性酸素産生の増加は認められなかった。 以上のことから,グルココルチコイド過剰は血管内皮細胞において主としてミトコンドリア電子伝達系の複合体IおよびIIでの活性酸素産生を亢進させ,NOを消去することが明らかとなった.
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