1998 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧における延髄での一酸化窒素の役割とその作用機序に関する検討
Project/Area Number |
10670668
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土橋 卓也 九州大学, 医学部, 講師 (30163827)
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Keywords | 延髄 / 一酸化窒素 / 血圧 / 高血圧自然発症ラット / 興奮性アミノ酸 / アンジオテンシンII |
Research Abstract |
高血圧における吻側延髄腹外側野(rostral ventrolateral medulla;RVLM)での一酸化窒素(NO)の役割とその作用機序について検討した。 1) 成熟雄性高血圧自然発症ラット(SHR)および正常血圧のWistar-Kyotoラット(WKY)を用い、ウレタン麻酔下に延髄腹側面を露出してRVLMに多管微小ピペットを刺入、L-グルタミン酸化(L-Glu,2nmol)、NO放出薬(NOC-18,10nmol)、L-アルギニン(L-Arg,10nmol)を微量注入し、血圧、心拍数を記録した。その結果、NOC-18、L-Argに対する降圧はSHRがWKYに比し有意に大であった。 2) Wistarラットに対し、NO合成酵素阻害薬(L-NAME100mg/kg/day)を4週間投与し、その昇圧機序について検討した。その結果、L-NAME投与高血圧ラットでは、NOC-18静脈内投与および脳室内投与による昇圧が大であった。またこのラットにおいてはRVLMへのL-Glu微量注入に対して過剰な昇圧反応を認め、アンジオテンシンII(AngII)に対する昇圧も大きい傾向を認めた。 3) 12週齢のSHRに対してAngII受容体拮抗薬のTCV-116(5mg/kg/day)を4週間飲水投与した。このラットでは、RVLMへのAngII注入による昇圧が著明に抑制され、未治療SHRでみられるL-Gluに対する過剰な昇圧反応も改善した。 以上のことより、SHRおよびNO合成酵素慢性阻害による高血圧モデルでは、中枢、特に延髄におけるNO作動不全を認めること、さらにNOとの相互作用が示唆されているL-GluおよびAngIIのRVLMでの昇圧作用がAngII受容体拮抗薬の慢性経口投与により抑制されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kagiyama S, Tsuchihasi T, et al.: "Enhanced depressor response to nitric oxide in the rostral ventrolateral medulla of spontaneously hypertensive rats" Hypertension. 31. 1030-1034 (1998)
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[Publications] Liu Y, Tsuchihasi T, et al.: "Central and peripheral mechanisms involved hypertension induced by chronic inhibition of nitric oxide synthase in rats" Journal of Hypertension. 16. 1165-1173 (1998)
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[Publications] Tsuchihasi T, et al.: "Differential effect of ACE inhibitor and angiotensin II(Ang II) type 1 receptor (AT1) antagonist on the responsiveness to Ang II in ventrolateral medulla of SHR" Hypertension. 32. 613(Abstract) (1998)