1998 Fiscal Year Annual Research Report
心・血管系の機能及び疾患に関するTEF-1転写遺伝子ファミリーの役割
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10670671
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安波 道郎 熊本大学, 医学部, 講師 (80244127)
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Keywords | 筋特異的遺伝子発現 / 転写因子 / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
マウス諸臓器のRNAを用いたNorthem法により4種類のTEF-1ファミリーのうちTEF-1、ETFR-1、ETFR-2の骨格筋、心臓及び肺、腸、腎臓など平滑筋や血管に富む組織での発現が明らかとなり、これらが筋細胞の分化や機能発現に関与する可能性が示唆された。動脈硬化や高血圧症に見られる心肥大においては筋細胞の脱分化や筋特異的な遺伝子発現の幼若化を伴うことが知られているので、これらの病態の成立における細胞の増殖および分化形質の発現とTEF-1ファミリーの関連を知るために、in vitroの筋分化の実験系および血管平滑筋細胞でのTEF-1ファミリーの発現を解析した。まずマウス筋芽細胞株C2C12や胚性腫瘍細胞株P19を用いて、骨格筋、心筋への分化に伴ってETFR-2のmRNAが増加することを見出だした。そこでETFR-2遺伝子を単離してmRNAの転写開給部位近傍の構造を明らかにし、さらに単離した遺伝子DNAからレポーター遺伝子を作製して解析した結果、転写開始部位を含む0.9kbめ領域に筋細胞における調節領域が存在することが明らかとなった。またその中のよりせまい部分に筋分化に伴う発現調節の責任領域があることが示唆された。次に、無血清培地で培養したラット大動脈由来の血管平滑筋細胞に血清、PDGF、アンギオテンシンIIなどの増殖刺激を加えてTEF-1ファミリーの発現をNorthern法により解析したところ、ETFR-2のmRNAの一過性の増加が観察された。さらにこのmRNA増加は少なくとも部分的には転写レベルでの調節が関与し、それにはMAPキナーゼ経路を介する細胞内信号伝達系と新規蛋白合成を必要とすることが明らかとなった。これらの成果につき現在発表準備をするとともにさらに詳しい分子機構の解析を進めている。
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[Publications] Matsumoto,K. et. al.: "Cloning from insulinoma cells of synapsin I asociated with insulin secretory granules." J.Biol.Chem.274. 2053-2059 (1999)
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[Publications] Iwata,I. et al.: "Association of polymorphism in the NeuroD/BETA2 gene with insulin dependent diabetes mellitus in Japanese." Diabetes. 48. 416-419 (1999)