1998 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧発症におけるアミロライド感受性ナトリウムチャネルの関与様式の解析
Project/Area Number |
10670677
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
新井 桂子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60277118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 保 日本医科大学, 医学部, 教授 (00147399)
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Keywords | アミロライド感受性ナトリウムチャネル / 高血圧症 / 偽性低アルドステロン症 / 遺伝子解析 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
近年、偽性低アルドステロン症と逆の病態を示す遺伝性高血圧症であるLiddle症候群において、アミロライド感受性ナトリウムチャネルの遺伝子異常が高血圧症の原因であることが明らかにされ、体液量の貯留を来す低レニン性本態性高血圧症においても、アミロライド感受性ナトリウムチャネルの関与が示唆されている。そこで、本研究では高血圧症におけるアミロライド感受性ナトリウムチャネルの病態生理学的意義を明らかにすることを目的とした。申請者らは以前より偽性低アルドステロン症の孤発例5例のアミロライド感受性ナトリウムチャネルα、β、γサブユニット遺伝子の解析を行い、αサブユニットに1ヵ所、βサブユニットに1ヵ所、γサブユニットに3ヵ所のアミノ酸置換を伴う点変異を同定してきた。初年度である平成10年度では、申請者らはこれらの点変異を確定し、さらに健常者における発現頻度を解析した。健常者25名のゲノムDNAを用い、PCR法にて同定された点変異を含む領域を増幅し、サイクルシークエンス法にて直接的に塩基配列を解析した。その結果、αサブユニットに同定された点変異は健常者においてもホモ接合、ヘテロ接合がそれぞれ31%、64%の頻度で認めれられ遺伝子多型であることを明らかにした。また、βおよびγサブユニット遺伝子の4ヵ所の点変異は健常者25名すべてに見られ、報告されている塩基配列の誤りである可能性が示唆された。これらの結果は現在論文として投稿中である。次年度以降は、本態性高血圧症患者における本チャネルの異常の有無を解析し、さらに高血圧症モデル動物を用いて、本チャネルの発現調節機構を検討することにより、高血圧発症におけるアミロライド感受性ナトリウムチャネルの病態生理学的意義を明らかにする予定である。
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