1998 Fiscal Year Annual Research Report
重症慢性活動性EBウイルス感染症症候群の発症機序に関する研究
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10670696
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡野 素彦 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50261300)
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Keywords | EBウイルス / 感染症 / 活動性 / 慢性 |
Research Abstract |
平成10年度は、主に対照としたEBウイルス(EBV)抗体陽性および陰性の健康人末梢血リンパ球を用いて各種検索を行った。末梢血単核球表面マーカーの検索では、従来報告されている様にCD陽性細胞では、CD3;71-91%、CD4;25-56%、CD8;17-44%、CD20;3-19%、CD56;10-38%、HLA-DR・9-29%であった。K562細胞を用いたNK細胞活性は、25・52%を示した。末梢血中のリンパ向性ウイルスの陽性頻度は、抗体陽性者のうちEBV;W%、またHSV-1/-2、CMV、HHV-6、アデノウイルス、HILV-1などは検出できなかった。MRC-5細胞を用いた培養上清中の細胞変性因子の検索でも、特異なウイルスの検出を認めなかったが、臍帯血リンパ球と末梢血リンパ球との混合培養では10例のEBV抗体陽性者中1例でEBV陽性細胞株の樹立を認めた。この例におけるPCRによる検索では、末梢血中にEBV DNAを検出しなかった。簡易法によるEBV特異的細胞障害性T細胞(EBV-CTL)機能の検討では、EBV抗体陽性者10例中8例で十分な細胞障害性がみられた。なおEBV抗体陰性者からは1例もEBV陽性リンパ芽球株が樹立されず、かつEBV-CIL活性は認められなかった。これらEBV-CIL活性を有する例と、保持しない例における培養上清中の各種サイトカインの測定を行ったが、特に差を認めたものは、インターフェロン-γ(IFN-γ)産生の有無であった。すなわち、EBV-CIL活性を認める例では、十分なIFN-γの産生を認めた。このことから、正常免疫監視機構下では、IFN-γの産生を伴うEBV-CTL活性の有無が、EBV感染症活性化抑制機構においてひとつの重要な役割を担っていることが示唆された。研究代表者らによる診断基準(Clin.Microbiol.Rev.4:129-135)により診断された重症慢性活動性EBV感染症症候群4例で、同様の検索が行え、末梢血単核球マーカーでは、対照に比較し3例でCD4陽性細胞の優位の増加を認めた。NK細胞活性は2例で低下を認めた。加えてEBV陽性リンパ芽球株は、全例樹立されず、その過程で細胞変性効果が認められた。それらの例における各種サイトカインの検索、リンパ向性ウイルスの存在の有無に関しては現在検討中である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Onodera M: "Successful peripheral Tlymphocytes-directed gene therapy for an ADA^-SCID patient" Blood. 91・1. 30-36 (1998)
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[Publications] Yamada M: "Color doppler ultrasonography for evaluation of gastroesophageal reflux in a sick child" Acta Paediatr. 87. 229-230 (1998)
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[Publications] Okano M: "Epstein-Barr virus infection and its role for the expanding spectrum of human diseases" Acta Paediatr. 87. 11-18 (1998)
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[Publications] Kobayashi I: "A 75-KD autoantigen recognized by sera from patients with X-linked autoimmune enteropathy associated with nephropathy" Clin Exp Immunol. 111. 527-531 (1998)
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[Publications] Kawamura N: "Elevation of serum IgE level and peripheral eosinophil count during Tlymphocytes-directed gene therapy for ADA deficiency. preferential expression of Th2 type cytokine gene in generally modified CD8T cells" Immunol Letter. 64. 49-53 (1998)
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[Publications] 岡野素彦: "宿主要因からみた感染症-基礎疾患と感染症-原発性免疫不全症候群" Infection Control. 7. 38-43 (1998)
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[Publications] Okano M: "Successful treatment of methylprednisolon pulse therapy in a patient with X-linked chronic granulomatous disease associated with pulmonary insufficiency following invasive aspergillosis and Burkholderia cepacia infection" Respiration. (印刷中).
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[Publications] Okano M: "Kawasaki disease and lymphotropic virus infection" Current Med Res Opinion. (印刷中).
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[Publications] 岡野素彦: "原発性免疫不全症候群の病理 -病因・病態について-" 臨床検査. (印刷中).
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[Publications] 岡野素彦: "EBウイルス感染症" 化学療法の領域. (印刷中).