1999 Fiscal Year Annual Research Report
小児アトピー性疾患におけるT細胞サブセットのCD30発現の特異性と臨床的意義
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10670707
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
足立 雄一 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (80184191)
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Keywords | CD30 / アトピー性皮膚炎 / Th1 / Th2 / ケモカインレセプター / CXCR3 / CCR4 |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞はその産生するサイトカインの違いによってTh1とTh2に大別され、アトピー性疾患では両者のバランスがTh2優位になっている状態がその発症ならびに病態に重要とされる。昨年までの本研究で、末梢血T細胞におけるCD30陽性細胞数の増加が、生体のTh2優位な状態と良く相関することを示した。しかし、実際にアレルギー性疾患で反応を起こしているのは局所(アトピー性皮膚炎では皮膚、気管支喘息では気道)であり、流血中からそれぞれの炎症の場へTh2細胞が選択的に遊走することが必要である。そこで、本年度の研究ではT細胞の遊走に重要な役割を持つケモカインレセプターに注目した。T細胞クローンや細胞株を用いた実験結果から、Th1細胞にはCXCR3とCCR5が、一方Th2細胞にはCCR3とCCR4が発現することが既に報告されている。そこで、アトピー性皮膚炎患者の末梢血T細胞上の上記ケモカインレセプターの発現を検討したところ、CXCR3の発現は非アトピー対照に比して有意に低値であり、一方CCR4の発現は有意に高値であることが明らかになった。また、CCR5ならびにCCR3の発現は末梢血T細胞上では非常に弱く、臨床応用には適さないものと考えられた。さらに、CD30の発現はTh2細胞とされるCCR4細胞に限局していた。以上の結果より、末梢血T細胞上のCD30ならびにケモカインレセプターの発現は、実際の生体におけるTh2優位の指標になりうるものと考えられる。現在、それぞれのケモカインレセプター発現細胞のサイトカイン産生を解析中である。
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