1998 Fiscal Year Annual Research Report
functional MRI による新生児脳障害の判定
Project/Area Number |
10670711
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
小西 行郎 福井医科大学, 医学部, 助教授 (40135588)
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Keywords | functional MRI / 白質周囲脳軟化症(PVL) / 視覚野 / 新生児高次脳機能 |
Research Abstract |
我々は昨年新生児・乳児において光刺激による視覚野の活性化について検討し、新生児と乳児でまったく反応が逆転することを報告した。今年度はこうした結果をもとに周産期脳障害をもつ児を対象にfMRIを行い、脳障害の判定に有用かどうかを検討した。 対象:新生児重症仮死などによる脳障害によって新生児期に超音波などで白質周囲脳軟化症(PVL)と診断された8症例である。対照として、同じように仮死にて出生したがPVLを認めなかった8症例を検討した。 方法:fMRIはSIGNA HORIZON1.5Tを使用した。鳥距溝を含む5横断面を設定し、3秒毎に連続102回の撮像を行った。光刺激はチェッカーボードパターンが反転する画像をプロジェクターを通して閉じた眼瞼上に投影し、30秒毎にon.offを繰り返した。新生児・乳児はチオペンタール3-5mg/kgの静注にて鎮静させた。 結果:PVLを認めた8例中6例ではfMRIに有意な反応が見られなかった。対照群ではすべての例に年齢に相当する反応が見られた。fMRIの反応のなかった症例6例はすべて知能障害と重篤な脳性麻痺を持ち、斜視を認めた。一方fMRIに有意な反応を認めた症例では斜視はみられず、脳性麻痺と知能障害を合併したのが2例であった。 考察:最近PVLの症例と視力障害や高度脳機能障害の関係が注目を浴びるようになった。しかし、乳児期に視力障害や高次脳機能を測定するのは困難であった。しかし、我々の今回の研究ではfMRIがそうした予後を予測する上で有用であることが示唆された。今後症例を増やして検討するつもりである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小西 行郎: "未熟児・新生児の自発運動" 日本新生児学会雑誌. 34・4. 728-733 (1998)
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[Publications] 小西 行郎: "胎児・新生児の行動観察とその診断的意義" 小児神経学の進歩. 27. 2-10 (1998)
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[Publications] Yukuo Konishi: "Laterality of finger movements in preterm infants" Developmental Medicine & Child Neurology. 39. 248-252 (1997)
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[Publications] 小西 行郎: "発達障害の臨床" 日本ME学会雑誌. 12・7. 12-19 (1998)
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[Publications] 小西 行郎: "脳機能の解明-21世紀に向けて-" 九州大学出版会, 6 (1998)